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「だからさとみを泊めるの嫌なんだよ」
はあ、と大きなため息をついた莉犬。
「莉犬くんはよくため息つくね」
「ため息でもつかないとやってられない」
ころんは、ふーん、と頬杖をついた。
酔っ払っていないと言い張る、酔っ払ったさとみを寝かせるのは大変なのだ。
莉犬が身体を揺さぶったため戻ってきたころんも、状況を把握すると顔をしかめたものだ。
なんとかして水を飲ませ、るぅとが寝ている部屋とは別の部屋に押し込んで寝させた。
「あの人に酒飲ませちゃダメだって」
「僕は止めたんだけどね。莉犬くんに怒られるし、どうなっても知らないよって」
「それでも飲んでたの? ころちゃんの言うことも聞かないって、相当飲んだなあいつ」
あのドアホが、と悪態をつく莉犬に、ころんは苦笑いになった。
莉犬がここまではっきりと物事を言うようになったのは最近のことだ。
「そういえばころちゃん。髪の色、薄くなってるから気をつけてね」
はっと顔を上げた莉犬。
気になって言おうと思ってはいたものの、さとみへの怒りの方が勝っていたらしい。
「ああ……さとみくんにも言われた。起きたら染め直すから大丈夫だよ」
「そう? ならいいけど」
ころんは自分の髪をつまむ。
紫色に染めたのだが、確かに青みが強くなってしまっている。
るぅとの髪色は落ちていないことを考えると、やはりこれは自分の髪の問題なのだろう。
「僕の髪ってなんでこんなに染まりにくいんだろうね」
呟いたころんを見て、肩をすくめた莉犬。
「わかんない。俺は髪染めたことないし」
「ま、そうだよね。莉犬くんの髪は染まりにくそう」
「そう見えて、意外と俺の髪は染まるかもしれないよ? やりたいとは思わないけどね」
だろうねえ、ところんも肩をすくめる。
獣人である莉犬の髪は、ただの髪ではない。
身体の一部であるため、髪を染めるとどんな影響が出るのか分からないのだ。
そのため、赤髪でプラタノ皇国では特に目立つ色でもない莉犬は、髪色を変えるということはしていない。
外に出るときはフードをいつもかぶっているのだが、それは髪色というよりも犬耳を隠すため。
魔法で見えないようにしているものの、万が一のことを考えてフードをかぶっているそうだ。
感じが悪く見える可能性もあるが、莉犬は魔法使いでありプラタノ皇国でもそれで通っているため、何も言われないらしい。
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翠霞チサ(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます、とても嬉しいです! (2023年2月15日 3時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 本当に好きです、何回読んでも飽きません (2023年2月14日 22時) (レス) id: 0464914362 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - ナナシさん» わああああ!!ありがとうございます!!! (2021年10月4日 21時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - 緋桜ひよ子さん» え、本当ですか!私としてはもちろん大丈夫ですが、本人様たちには迷惑がかからないようにお願いします…! (2021年10月4日 21時) (レス) id: 1f91d52096 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - あ…あの!こちらの作品のファンアートを描かせて頂けませんか…!?あまりにも素敵な作品なので・・・・・。ダメであれば大丈夫ですので…! (2021年10月4日 20時) (レス) @page44 id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年9月22日 2時