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結局話が盛り上がってしまったため、森の中を抜けるには遅い時間になってしまった。
莉犬はしぶしぶころんとるぅとを家に泊めることにしたのだが、街に家があるはずのさとみもなかなか帰らない。
莉犬はすでに諦めたようで、さとみの分の布団も用意を始めている。
ころんが風呂上がりにリビングへ戻ると、さとみがじっところんの髪を見つめた。
「ころん、お前髪の色抜けてる」
「え、嘘」
「嘘じゃない。風呂入ったから薄くなったんだろ」
マジかあ、と椅子に座ったころん。
るぅとは先にさとみと一緒に風呂に入って、もう寝てしまっている。
るぅとの髪色は染めたまま、黒色だ。
「外に出る前にまた染め直した方がいいぞ。青色の方が強くなってる」
「わかった、起きたら染め直すわ」
そう言って、ころんはさとみの手元を見る。
「それ、莉犬くんに言った?」
「いや? 勝手に拝借した」
「……怒られるよ」
ま、莉犬だし大丈夫っしょ、とさとみが気にする様子はない。
さとみの手元には、莉犬の家にあったと思われる酒とつまみが置かれていた。
「莉犬、さとみくんが家で酒飲むの嫌がるじゃん。悪酔いするから」
さとみの悪酔いはタチが悪い。
莉犬だけでなく、ころんも手を焼くような問題行動を起こすのだ。
嫌な顔をして酒を見るころん。
「まあ、なんとかなるって。ころんもいるんだし。ころんも飲むか?」
「いいよ、僕は飲まない」
ころんまで悪酔いしたら、莉犬が大変だ。
そこまで迷惑をかけるわけにはいかない。
「なんだよ、付き合い悪いな」
「付き合い悪くてもなんでもいいけど。莉犬くんに何も言わずに酒飲んでるの、僕はどうなっても知らないからね」
そう言って、ぼんやりとするころん。
こうなったときのころんは何も見ていないし、話しかけても聞こえていない。
「ころちゃん、そういえば仕事の話……あっ! さとみお前!」
「やべっ」
リビングへと戻ってきた莉犬は、机の上にあった酒とつまみに目を止めた。
案の定怒った莉犬を見て、さとみは首をすくめる。
手に持っていた酒を飲み干し、コップを机の上に置いた。
「おまっ……だから、そういう飲み方するからダメなんだろうがお前は! この酔っ払いが!」
「まだ酔っ払っちゃいないよ」
「いや、酒臭っ! どんだけ飲んだんだよ!」
莉犬とさとみがいくら騒ごうが、ころんの耳には入っていない。
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翠霞チサ(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます、とても嬉しいです! (2023年2月15日 3時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 本当に好きです、何回読んでも飽きません (2023年2月14日 22時) (レス) id: 0464914362 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - ナナシさん» わああああ!!ありがとうございます!!! (2021年10月4日 21時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - 緋桜ひよ子さん» え、本当ですか!私としてはもちろん大丈夫ですが、本人様たちには迷惑がかからないようにお願いします…! (2021年10月4日 21時) (レス) id: 1f91d52096 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - あ…あの!こちらの作品のファンアートを描かせて頂けませんか…!?あまりにも素敵な作品なので・・・・・。ダメであれば大丈夫ですので…! (2021年10月4日 20時) (レス) @page44 id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年9月22日 2時