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12. ページ13

「あのね、家に来るなら連絡くれない? 突然押しかけてくるなんて常識がなってないよ」

目の前に立っている背の小さな男。

フードをかぶっているため、髪の色も瞳の色もいまいち分からない。

「ごめんって。でも莉犬くんなら家にいると思ったから」

はあ、とため息をついた莉犬。

「さっき帰ってきたばかりだよ。そういう意味ではタイミングよかったね」

入って、と莉犬は家の中に訪問者を招き入れた。

「家に一気に三人も押しかけてこられても困んの。椅子も机も足りないじゃん」

まったく、と文句を言いながら杖を一振りした莉犬。

ぱっと現れた椅子と、一回り大きくなった机。

「とりあえず座って。ころちゃんとさとみくんはいつものでいいね」
「はいよ」
「ありがと」

勝手に椅子に座ったころんとさとみは、自分の家のようにくつろいでいる。

莉犬は、きょろきょろしていたるぅとの前にしゃがみ込んだ。

「王弟様は? 飲み物は何がいい?」
「え、あ」

目を泳がせたるぅと。

「お茶、水、ジュース。何がいい?」
「あ、お茶で……」
「お茶ね、わかった。座ってな」

何が面白かったのか、ギャハハ、と同時にころんとさとみが大声で笑い出す。

ちっと舌打ちをした莉犬。

「うるさい! お前らは黙ってろ!」
「あー、莉犬が怒ったわ」
「おー、怖い怖い」

慣れている二人も怯む様子はない。

むしろからかったように笑うのを見て、莉犬はため息をついた。

「あんなやつらでごめん。待っててね」

莉犬が部屋の奥に消えると、るぅとは戸惑ったように椅子に座る。

「あの人が、莉犬って人なんですか?」
「そうだよ」

へえ、と莉犬が消えた先を見るるぅと。

「右目が黄色だった。僕と同じ」

ころんは、あぁ、と頬杖をつく。

「生まれつきなんだって。珍しいよね、王家の血は入ってないのに」

滅多にいないから、黄色は王族の色になったのだ。

王家の血筋ではないのに、黄色が髪や瞳の色として表れる人というのは、フレッサ王国では数少ない。

「……それは、かなり珍しいですね」
「でしょ? るぅとくんも知ってるんじゃない? スキロス伯爵家」

スキロス、と口の中で呟くるぅと。

「なぁに勝手に俺のこと喋ってくれてんの」
「いてっ」

いつの間にか戻ってきていた莉犬がころんの頭を軽く叩く。

「うわ、最低。暴力反対」
「お前が言うなっての」

はあ、とため息をついて机の上にコップを並べた莉犬。

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翠霞チサ(プロフ) - ねこさん» ありがとうございます、とても嬉しいです! (2023年2月15日 3時) (レス) id: 89401d456b (このIDを非表示/違反報告)
ねこ - 本当に好きです、何回読んでも飽きません (2023年2月14日 22時) (レス) id: 0464914362 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - ナナシさん» わああああ!!ありがとうございます!!! (2021年10月4日 21時) (レス) id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)
ナナシ - 緋桜ひよ子さん» え、本当ですか!私としてはもちろん大丈夫ですが、本人様たちには迷惑がかからないようにお願いします…! (2021年10月4日 21時) (レス) id: 1f91d52096 (このIDを非表示/違反報告)
緋桜ひよ子(プロフ) - あ…あの!こちらの作品のファンアートを描かせて頂けませんか…!?あまりにも素敵な作品なので・・・・・。ダメであれば大丈夫ですので…! (2021年10月4日 20時) (レス) @page44 id: a44667decb (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ナナシ | 作成日時:2021年9月22日 2時

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