ルヴァンシュ

プロローグ ページ1

誰が予想できただろうか。

いつものように家を出て、仕事のために街へと向かっていたら。

見ただけで高価だと分かる服を着た、幼い子どもが倒れているなんて。

「え」

思わずこぼれた声。

何でこんなところに子どもがいるんだ。

しかも、いいところのお坊ちゃんだと見て分かるような格好で。

深い森の中、まだ街へは少し距離がある。

子どもが倒れている方向を見て、男は反対方向を振り返る。

子どもは街を目指していたらしい。

となると。

「フレッサ王国から抜け出してきた難民かな」

しかし、この身なりは難民というよりむしろ。

「亡命、の方が正しいよな」

男はそっと子どもに近寄って、背中に手を当てる。

呼吸はしているため、生きているようだ。

そのまま顔を確認して、男は固まった。

まさか。

「フレッサ王国の第二王子様……？」

どうして隣国の王族がこんなところで倒れているのか。

男は苦い顔をして、天を仰いだ。

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