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真咲Side
佐藤は殺された。
この事実をみんなは俺には話してくれなかった。
いや、俺が気を使わせてしまったのかもしれない。
きっと、宙がとっさの判断で目を覆ってくれなかったら、俺はショックで死んだかもしれない。
何が起こったのか分からなかった。
俺があの時最後に見たもの。
それは、自信満々だった佐藤の顔が少しずつ歪んで苦痛の表情になっていく瞬間だった。
そのあとは、宙に目をふさがれて、耳も塞がれた。
正確には、抱き寄せられて目は宙の胸に、耳は両手で覆われた。
そして、自らに雨のように降りかかってくる生暖かいものを感じた。
それを感じた瞬間だった…
そんなに強い力で押さえつけられたわけでもなかったのに、自らがシャットアウトしたかのように、何も聞こえなくなった。
でも、何か大変なことが起こったのは分かった。
そしてその何かが何なのか…
明らかに、怒りに震えた周りの空気たち。
シャットダウンしていた聴覚が元に戻り始め、甲高く響くサイレン音が聞こえる。
独特な鉄の匂いがする…
そして、聴覚を奪われる前に聞いた、あの機械音。
きっとそう言うことだろうと理解した瞬間だった。
でも、そこから先の俺の記憶はない。
そして、気が付くと…
ここ、風男室の中。
皆さんがどこか悲しそうで、不安そうな顔でこちらを見てくる。
そしてやっと俺は真実を聞かされた。
佐藤は何者かに殺され、その犯人が警視庁関係者である可能性が高いこと。
でも、俺にはその事の重大さはまだ分からない。
みんなが何者なのかも…
何を隠しているのかも…
どんな基準で選ばれた人たちなのかも…
俺がここに入れた理由も…
何も知らないし、
何も分からない。
誰も、教えてくれようとしなかったから。
でも、不思議と彼らの間には絆が見える気がする。
何の接点もなさそうなのに。
どれだけ考えたって…
もがいたって…
俺には分からない。
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