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宙Side
怜生くんはゆっくりと拳銃を下ろして武器を丁寧にしまった後、僕が運んできたスーツケースを押して工場内部に消えていった。
佐藤「へぇ?本当に君たちは優秀な班なんだね?爆弾を扱えるやつがいるなんて。計算外だったな。まぁ、いい。一人で解除できるような簡単な構造のものでもないしな。」
あぁあ、おじさん。怜生くんを舐めちゃいけないよ?
かつては科学実験爆弾処理班の絶対的エース。
みんなの憧れのエリートだったんだから。
これを言ったって、どうにもならないし…
自分たちの情報をよそ様に漏らしてるようなもんだから言わないでおくけど。
僕だって、怜生くんは健水・光黄くんペアの次に憧れた先輩なんだから。
警視庁に所属したら、みんなが一度は憧れるポジションの仕事についてたエリートさんばっかりで組まれた。
それが、風男塾なんだから。
僕だって、これでも一応、法医学の面では訓練校を首席で卒業してる。
今でこそ、変わり者の集まりと言われるようになったけど。
それでも、僕らが…
彼らがすごいことには、変わりはないんだ。
佐藤「さぁ、一人減って相手は2人か。1つあれば足りる…」
そう言うと佐藤は作業台の中から爆弾を取り出した。
恐らく試作品だろう。
真咲「うっ動くなって言ったろ!」
声を荒げて明らかに動揺を見せる真咲。
気持ちもわかる。
でもそんなことしたら、弱みを握られるだけなのに…
今、佐藤が持っているのはただの爆弾じゃない。
しっかりした、ほぼ完成品と同じ試作品。
今まではプラスチックが主流だったのに…
あんなにちゃんとしたのも作れるの?
爆弾を上に向かって投げた佐藤。
警察官という肩書上、むやみに爆弾に拳銃を乱射するわけにはいかない。
かといって、動くものに狙いを定めて一発で撃ち抜く力は僕にも真咲にもない。
どうしよう。
そう思った時だった。
パンッ))
乾いた音が一発響いて。
爆弾が空中ではじけた。
??「二人だけとちゃうやろ?なぁ佐藤。」
??「俺らもいるんだけどなぁ?忘れてもらっちゃ困るよ?ねぇ佐藤。」
そんな声が聞こえた。
犯人の投げた宙を舞う爆弾を見事に空中で打ち抜いたのは健水くんだった。
その後ろには、サポートに光黄くんもいる。
宙「健水くん、光黄くん…」
これでもう大丈夫。
何故だかそう思えた。
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