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怜生Side
お疲れって言っただけなのに…
すごく長い、あいつらしい返事が返ってくる。
真咲「分かった。おやすみなさい。光黄くんも怜生くんも終電が無くなる前に早く帰ってね。」
いかにも署の人間らしい発言だった。
でも…
光黄「気にしなくていいよ?」
真咲「どうしてですか?」
怜生「俺ら、帰るとこないから。」
そう言うと、たった一言そうなんだといった。
やっぱり、こいつは何か違うかもしれない。
それ以上深く聞いてこない。
他の奴みたいに。
光黄「そうそう、さっき健水言い忘れてたから補足だけど、事件が起きたら必ず出勤だからね?忘れちゃだめだよ?」
真咲「分かりました。じゃあ、お疲れ様でした。」
そして、来た時と同じように静かに戸を閉めて屋上から出て行った紅竜。
その後ろ姿を見て…
光黄「真咲と出会ったのも、なにかの運命かもね?」
なんていう。
でも…
本当にそうかもしれない。
あの人を動かす力を持ったあいつなら…
健水をもとに戻すことだってできるかもしれない。
運命…
今までの俺たちの人生にそんな物は無かった。
もっと言えば、簡単な分かれ道や選択肢ですらもなかった。
なるべくして、こんな風になった。
この運命…
信じてみてもいいかもしれない。
でも…
紅竜真咲という人間は、俺たちの過去を全部知っても俺たちから離れていかないだろうか?
大切なものを増やすと、自分がしんどくなるだけだ。
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