恋の終わり ページ38
.
ガ「じゃあ、お疲れ。今日はみんな、ゆっくり休めよ」
夜中の高速を飛ばして、おれらは地元に戻ってきた。帰りの車内は誰も喋る事なく、それぞれ仮眠をとったりスマホを弄ったりして過ごした。
A「ガッチマンこそ、運転お疲れさま。ゆっくり休んでね」
ガ「ありがとう。…こんな事になったけど、もしまだやってくれるっていうなら…」
キ「大丈夫、やるよ」
Aの腰に手を回しながら横に立ったキヨくんが、爽やかな笑顔を見せた。
ガ「そうか!助かる。じゃあ、また頼むな」
若干の疲労を見せながら、ガッチマンは帰って行った。残されたおれら4人の間に流れた暫しの沈黙。口火を切ったのは、
キ「…あの、
レ「おれとウッシーは飲んで帰るから送らんでええわ。じゃあな、おつかれ」
ウ「え?あ、うん」
キ「…そっか。わかった、じゃあまたな。A、」
A「うん。あんまり飲みすぎないようにね、レトルト弱いんだから。じゃあ、おやすみ」
レ「…おやすみ」
最後にとびきり可愛い笑顔を残して、キヨくんに腰を抱かれたAは車に乗り込んで走り去った。それを見送りながら、
ウ「…本当に飲み行くのか?」
レ「考えてもみてよウッシー。あの2人がこれから何するか、一人で家で想像してしまう時間を。耐えられる?」
ウ「…飲もう!」
ウッシーの行きつけのダーツバーで、飲み慣れない琥珀色の液体を揺らしながら、感慨に耽る。
レ「…終わった、のかな。おれらの、初恋」
ウ「まあ…そうね。…いずれこうなるって、知ってた気もするけど」
レ「…そうやな。アイツ、本当に一途だったもんな」
ウ「チェリーだもんな多分」
レ「ウッシーは?違うんでしょ?」
ウ「は?…いや俺はだって、もう21だぜ?…配達先のバーの美人ママに強引に迫られて…何度か」
レ「うわ、イヤラシイ!穢れてるわ!」
ウ「男だからな。そういうレトルトは?」
レ「…おれも、後輩の女の子にめっちゃアプローチされててな。納期に追われて会社泊まり込んでた時期に…魔が差して…オフィスの床で」
ウ「もうAVじゃねーか。…そっか、結局俺らにはAの隣にいる資格、なかったってことか…」
レ「…いやまあ、キヨくんほど一途じゃなかったってだけで…本当に…Aのこと、好きやった…」
ウ「…泣くなよ…俺も本当に好きだった、いや今も大好き。…でもきっと…キヨなら、Aを確実に幸せにしてくれるから。無職だけど」
レ「…そうやな。悔しいけど…うっ」
ウッシーに倣って、琥珀色の液体を一気に涙ごと流し込んだ。
.
210人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いりや(プロフ) - りんごさん» 素敵な言葉で褒めて頂き有難うございます😊楽しんで頂けて幸いです✨ちゃんと完結しますので気長に更新お待ちいただけたらと思います。ミステリ系がお好きでしたらFriday Nightは完結してますのでよかったらお試しくださいませ🤗 (2022年4月6日 22時) (レス) id: dfbc56e474 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - とても面白かったです!読む手が止まらず1話から最新話まで一気に読んでしまいました。本当にこの作品に出会えて嬉しいです。これからも応援しています! (2022年4月6日 15時) (レス) id: 7d7013c3c7 (このIDを非表示/違反報告)
いりや(プロフ) - でんこさん» うう、嬉しいお言葉ありがとうございます(T-T)!ドキドキきゅんきゅんして頂けたら私も嬉しくてほくそ笑みます!ジェイソンとはまた違うタイプのお話になるとは思いますが、読み続けて頂ければ幸いです^ ^頑張って更新します😊 (2021年10月17日 9時) (レス) id: dfbc56e474 (このIDを非表示/違反報告)
でんこ - いりやさまの書かれるお話大好きです!ジェイソンの時もすっごくドキドキしてキュン要素もあって最高でした。これからもがんばってください!応援してます! (2021年10月17日 1時) (レス) @page8 id: 960c4a624a (このIDを非表示/違反報告)
いりや(プロフ) - chiyuさん» いらっしゃいませ。こちらこそ、心に沁みる素敵なコメントを有難うございます🥰世界観を活かした読み応えのあるお話をお届けできますよう、精進して参ります😊 (2021年10月15日 0時) (レス) id: dfbc56e474 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:いりや | 作成日時:2021年10月8日 1時