競争ね ページ3
.
「うっす」
カウンターの奥から、青い帽子に青いツナギを着た黒髪眼鏡の男が現れた。
A「ウッシー、おはよ！」
ウ「おはよ。A、今日もすげえ可愛い」
A「あは、ありがと。ウッシーもイケてるよ」
ウ「さんきゅ。ミルク、小麦粉、卵、砂糖。こっちに置いたから、チェックして」
Aはホールをもう1人のウェイトレスに任せ裏に入った。
A「んー、小麦粉２袋、卵5ダース…うん、OKかな」
ウ「ほい、サイン」A「ん」
紙にサインするAの手元を覗き込むようにして、ウッシーと呼ばれた男は後ろからAの頬にキスをした。
A「んっ、くすぐったい…はいこれ。今日、キヨとレトルト来てるよ。キヨに見られたらうるさいから」
ウ「だから裏でやってんの」
ふふん、と悪戯っぽい笑みを見せてウシザワは手を上げ、「またな」と裏口から出て行った。
再びホールに戻ると、カウンターに腕を交差してその上に顔を載せ、ジッとこちらを睨んでいるキヨがいて、思わずAは「わっ、」と声をあげた。
キ「…ねえ、今ウッシー来てたっしょ。なんかされてなかった？」
A「何もされてない！もう帰ったし。それよりキヨ、なんか食べる？」
キ「食いてえけど、金ねえもん…ツケも溜まってるし、Aの奢りも嫌だ」
A「じゃあさ、新メニュー考えてる最中だから、試作品ならタダで食べていいよ。今、作ってくるね」
キ「うう…Aー。なんていい女なんだお前は。…オレも早く、一人前にならなきゃ。そんで、絶対お前と…」
カウンターに突っ伏すキヨの元に、ほどなく温かい料理が置かれた。
A「クリームチーズオムレツだよ。美味しいか判らないけど、どうぞ」
キ「美味いに決まってる！頂きます！…A、そういやこないだのオーディション…」
A「あー、ダメだった！ブロンドの子が受かってたわ。やっぱ、あたしの赤髪じゃアニー位しか受かんないのかな、はは」
ムリヤリ笑うAに、キヨは口一杯頬張った料理を急いで飲み込んで叫んだ。
キ「んな訳ねーだろ！！髪の色なんかカンケーねーし、お前の髪は世界一キレイなんだよ！何度も言わせんな」
A「…ん。髪のせいにしたかっただけだよ…完全にあたしの実力不足」
キ「また次受ければいいだろ。絶対、Aに合った役があるはず。…オレもまた、頑張るし」
A「…うん！どっちが先に決まるか、競争ね」
キ「いや、オレ生活かかってるしそんな余裕ねえわ」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 210人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「実況者」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
いりや(プロフ) - りんごさん» 素敵な言葉で褒めて頂き有難うございます😊楽しんで頂けて幸いです✨ちゃんと完結しますので気長に更新お待ちいただけたらと思います。ミステリ系がお好きでしたらFriday Nightは完結してますのでよかったらお試しくださいませ🤗 (2022年4月6日 22時) (
レス) id: dfbc56e474 (このIDを非表示/違反報告)
りんご - とても面白かったです！読む手が止まらず1話から最新話まで一気に読んでしまいました。本当にこの作品に出会えて嬉しいです。これからも応援しています！ (2022年4月6日 15時) (レス) id: 7d7013c3c7 (このIDを非表示/違反報告)
いりや(プロフ) - でんこさん» うう、嬉しいお言葉ありがとうございます(T-T)！ドキドキきゅんきゅんして頂けたら私も嬉しくてほくそ笑みます！ジェイソンとはまた違うタイプのお話になるとは思いますが、読み続けて頂ければ幸いです^ ^頑張って更新します😊 (2021年10月17日 9時) (レス) id: dfbc56e474 (このIDを非表示/違反報告)
でんこ - いりやさまの書かれるお話大好きです！ジェイソンの時もすっごくドキドキしてキュン要素もあって最高でした。これからもがんばってください！応援してます！ (2021年10月17日 1時) (レス) @page8 id: 960c4a624a (このIDを非表示/違反報告)
いりや(プロフ) - chiyuさん» いらっしゃいませ。こちらこそ、心に沁みる素敵なコメントを有難うございます🥰世界観を活かした読み応えのあるお話をお届けできますよう、精進して参ります😊 (2021年10月15日 0時) (レス) id: dfbc56e474 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：いりや | 作成日時：2021年10月8日 1時
