第三十話 未来へ ページ32
冷たい雪を溶かすように、私は士郎の手をそっと握っていた。
雪崩から助かり、私達の心はよりいっそう寄り添いあっている。
「僕、もう絶対、君を手放さない。君を信じる」
「私も。私も、これからはあなたのことをちゃんと理解するよ」
士郎のお気に入りの木の下。
私達は、その幹に体をあずけている。
この木は、本当のアツヤ君との思い出の木だと、士郎は言った。
「今まで、ずっとひとりぼっちだった。でも、心のアツヤだけが僕を支えてくれてたんだ。僕より強くて、優しくて、大きな人間のアツヤが」
士郎は涙を静かに流していた。
美しい白い横顔が桃色になる。
何年も、表にだせなかった涙なんだろう。
家族を失って、ひとりぼっちになって、目の前が真っ暗になって。
すごく、恐かったんだと思う。
士郎の悲しみ、苦しみは私に完全に理解することはできないかもしれない。
全部私に委ねなよ、なんて軽々しく言えない。
だけど。
それでも。
「あなたは一人じゃない。私にできるかぎり、精一杯、私はあなたのことを受け止める。だから、もう一人で悩んだりしないで」
私は士郎の手を強く握りしめる。
「元気だして、明るく生きていこう？ 私もがんばるからさ。皆にいろいろ言われてるけど、あなたにふさわしい彼女になって、皆を納得させてみせるよ。ちゃんと、私も前を向いていかなきゃならないんだから」
「そう・・・だね」
士郎は私の手を握り返した。
「僕も、これからもっとしっかりした人間になるよ。アツヤと一緒に。君を守るために、もっと強くなる。完璧になる」
「完璧なんて。あなたがいるだけでいい。私は何もいらないよ。士郎がさ、私とこんなふうに仲良くしてくれるのが、ほんとに嬉しいの。これだけで充分」
私は笑ってみせた。
士郎も、優しく微笑んだ。
「ありがとう、A。大好きだよ」
「私も、だよ」
私がいうと、士郎は照れたように口元を緩ませる。
「まだまだ君とやりたいこと、いっぱいあるんだ」
「やりたいこと・・・ね」
「これからも、よろしくね？」
いたずらをする子供のように、目をきらきらさせる士郎。
かわいいな。
ーー私の彼氏くんは。
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蘇芳うつひ - 吹雪君かっこいい……！
涙腺崩壊しました･ﾟ･｡.(>д<).｡･ﾟ･ (2015年8月24日 22時) (携帯から) (
レス) id: 6e22eac2fd (このIDを非表示/違反報告)
涼雲風矢(プロフ) - いえいえ。（＾ ＾） (2015年5月17日 13時) (レス) id: c574d3efcf (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - 雪風 晴香さん» お返事遅くなってごめんなさい・・・！ 本当ですか！！ ありがとうございます^^ そう言っていただけるととっても嬉しいです♪ (2015年4月22日 23時) (レス) id: 63bd99ea74 (このIDを非表示/違反報告)
雪風 晴香 - 吹雪君カッコいいです☆ (2015年4月19日 11時) (レス) id: 78d33caed6 (このIDを非表示/違反報告)
凜(プロフ) - 涼野Inaさん» そうなんですね〜^^！ なんだかありたがいなぁ♪ 更新頑張るのでぜひ見に来てくださいね！！ (2015年4月13日 21時) (レス) id: 63bd99ea74 (このIDを非表示/違反報告)
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