【七つの大罪】黄昏の歌姫.6

241.償い ページ5

.




「メリオダス…王国誕生祭が終わったら俺は王都を出ます」



ギルサンダーのその言葉に私はご飯を食べていた手を止め、横にいる彼を見た。
そうだ。王国誕生祭…確か明日だって言ってたっけ。
そう、それでギルサンダーは王都を出るって決めて…。


「マーガレットを守り、ヘンドリクセンの目を欺くためとはいえ、罪もない沢山の人々を傷つけました。…俺は、聖騎士失格です。王都を出て自分の足で各地を巡り、傷つけた人々にどんな形でもいい…。償いたいんです」



そう言ったギルサンダーに私は思わず目をパチパチと何度も瞬かせた。


「ルーネスと同じ事言ってる…」

「え？」

「ルーネスは償いとかそうゆうんじゃないけど、ギルサンダーさんと一緒。王都を出て色んな所を巡るって」

「そう…か。アイツもここを離れて…」


腕のたつ聖騎士二人がこう言ってるの、王国的には大丈夫なのかなとか思ってきちゃった。
結構痛手じゃない？…そんなこともないのかな。



「というか…ルーネスとギルサンダーさんもそれだと…あの、他の聖騎士達も揃って王都を出るとか言い出すことは…」

「いくらなんでもそりゃないだろ。聖騎士みんなが罪償おうと王都を出るなんて大問題だしな。そうなると新たな聖騎士達を育て、迎え入れなきゃなんねぇだろ？」

「そんなことになったら復興、再建に遅れが出ますしね」



私、ちょっとアホな質問しちゃったのかもしれない。二人の回答に「だ、だよね」と小さく苦笑いを浮かべた。
でも、そっか。ギルサンダーも王都を出るのか。
ならルーネスと一緒に行けば……って、それだと意味ないか。



「自分の意思で決めたことなら止めやしねぇさ。お前はもう一人前なんだ。でも、マーガレットはどうすんのかな？」

「マーガレットならもう心配ありません…俺の代わりの聖騎士はいくらでもいます」

「マーガレット自身の意思はどうかなって話。ギル坊の考えは関係ねぇだろ」



ギルサンダーとマーガレット王女は特別な関係。
せっかくお互いの気持ちを確かめ合うことが出来たのに、また離れ離れになるなんて。
ギルサンダーはこう言ってるけど、きっと相手からしたら寂しくて仕方ないと思う。
もし私なら…。凄く嫌だな。

242.各々の思考→←240.和解

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す