【七つの大罪】黄昏の歌姫.6

266.伝えきれない ページ30

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その後、王様は気をつかったのか席を外して私とエリザベスの二人きりにさせてくれた。
私は…エリザベスにもちゃんとお礼を言わなくちゃいけない。
まだちゃんと言えてなかったから。



「エリザベス、私ね…エリザベスには本当に何てお礼を言ったらいいのか分からない」

「A…？」

「ありがとう、なんかじゃ伝えきれないと思う」



あのね、と言う私にエリザベスは「うん」と頷きながら優しい表情で静かに私の言葉を待ってくれていた。



「私、メリオダスに好きだって…伝えた、伝えられたよ」



その言葉にエリザベスは一瞬目を見開かせた後、私の手を取り優しく握ってきた。
エリザベスにはこうして何度もたくさん、優しく手を握ってもらったけど、握られるたびに彼女の優しさや温かさが手から伝わってくる気がして落ち着くんだ。



「伝えられたのね、ちゃんと…。良かった、本当に」

「エリザベスが背中をおしてくれたから言えたの。自分の気持ちに正直にならなくちゃって」



あの時も、私の手を握って優しく背中をおしてくれたエリザベス。
いつだってエリザベスは私を気にかけてくれて、手を取ってくれる。
そんなこの子に、私は嫉妬の感情を抱いて自分勝手な行動ばかりしてしまった。それでもエリザベスは真っ直ぐに…ただただ私を心配してくれていた。
そして私は彼女の優しさに後押しされ、メリオダスに想いを伝えることが出来たのだ。
背中をおしてくれたエリザベスのためにも、もう後ろめたい感情ばかりを抱いたりしない。



「メリオダスの答えはまだ聞いてないけどね！答えはまた、いつか時が来たら聞こうと思う」

「時…っていうのは？」

「今はまだ私も色々考えないといけないことがあるから。メリオダスも、まだ今答えを出せない理由があるんだと思う。とにかく、私の気持ちを知って欲しかったから！」



それだけで充分、進歩だし私も何だか胸のモヤモヤが取れてスッキリしたし！と言えばエリザベスは「そうなのね」と微笑んだ。



「メリオダス様はAのことをとても大切にしてるわ。本当に、とっても。きっとあなたが想像しているよりもずっと」

「何言ってんのさ！」

「え？」

「私だけじゃない。エリザベスのことだって大切だよ、メリオダスは」


メリオダスは仲間思いだ。
彼がエリザベスに対してどんな感情を抱いてるのかハッキリ分からないけど、メリオダスはエリザベスを仲間とはまた違った扱いをしてるような気がするのだ。

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