【七つの大罪】黄昏の歌姫.6

250.知っていてほしい ページ14

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私はまだまだ未熟で弱くてちっぽけだ。
魔力を覚えたばかりで、それを上手く使いこなせてるわけでもなく…本当にまだまだ未熟で赤ん坊のようなものだ。
これからきっと、何かまた苦難が起こるかもしれない。

元の世界、そしてこちらの世界…。
自分の中で、まだきちんと区切りをつけられていない今…何もかもが曖昧なこんな状態でメリオダスの答えを聞くことは出来ない。
そう考えると正直告白したのもタイミング間違ったかなって思うけど…。

でも、彼の答えを聞くのはまだ早い気がしたんだ。
仮にメリオダスも同じ気持ちでいてくれたとして、…まぁ、ありえないけど…恋人関係になったとしたら。
曖昧で未熟な自分がそんなものにうつつを抜かしてるのが何だか許せない気がする。
そして仮にフラれたとして、正直すぐに立ち直る自信なんてものは無い。フラれる可能性が一番…ほぼ100%だし。

だから、今は…。




「今は、私の気持ちを知っていてくれればそれでいい」


そう、今はそれでじゅうぶんなんだ。
メリオダスのことが好きなんだって、そう知っていてくれるだけで。

……あ、何だか急にすっごく緊張してきちゃった。普通に恥ずかしいこと言っちゃってるし…。
火がついたように赤くなる顔を隠すために俯こうとしたら、それまで黙っていたメリオダスが口を開いた。



「随分勝手なことばかり言うんだな、Aは」


私は俯こうとしていた顔を上げ、メリオダスを見る。
眉を僅かに下げ、困ったように…けれど優しい表情を向けてくる彼に私はドキリとしながらも戸惑う。



「好きになっちゃいけねぇとか、オレが他の誰かを好きでも、とか。お前にとってそんなにオレは好きになっちゃいけねぇ相手なのか？」

「…っ」

「オレが他の誰かを好きとか、何でそんなことが言いきれんだ。お前の知ってた未来では、オレは今この状況の中で他の誰かを好きになってたってことか？」

「そ、れは…」



元の世界で原作を読んでいた頃、直接メリオダスがエリザベスに対して好きだと口にする表現こそは無かった。
けれど彼のエリザベスに対する態度を見てればそれは一目瞭然で。
けれどそんなこと言えるわけない。
あなたは、エリザベスのことが好きなんだ。なんて、そんなこと。
言葉に詰まらせる私に、メリオダスが「A」と私の名前を呼ぶ。

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