249.言葉にしたい ページ13
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「もう泣いてねーな?」
「うっ、な、泣いてないよ」
「どれどれ〜」
「泣いてないってば!」
本当にもう涙は引っ込んだ。
引っ込んだというのに、またいつものからかいモードに入ったメリオダスはズイッと前かがみになって私の顔を覗き込んでくる。
私はそんなメリオダスの肩を押して距離を取った。
もう、いつもの和やかな空気だ。
ニシシ、と笑うメリオダスに私は困ったように笑って見せた。
この世界に来て、どれだけこの人に助けられたか分からない。どれだけ勇気づけられて、支えられたことか。
この世界の…メリオダスのおかげで、私は歌うことに自信を取り戻すことも出来たんだから。
本当に、…本当に本当に、
「メリオダスには敵わないや」
「ん?何か言ったか?」
小さく呟いた言葉は、メリオダスの耳には届かなかったようで小首を傾げながら私を見てきた。
私はそんな彼の瞳を真っ直ぐに、真っ直ぐに見つめ、笑みを浮かべた。
「私、メリオダスの事が大好きだよ」
改めて伝えた私の言葉に、予想外だったのか僅かに目を見開かせるメリオダス。
好きな気持ちが溢れて、言葉にしたくなった。
昼間の時よりもスッと出たその言葉。
やっぱり緊張はするけど、それよりも何よりも今…こうして言葉にして言いたくなったんだ。
「出会う前から好きだった。出会ってからはもっと…好きになった」
メリオダスは真っ直ぐに私を見つめたまま、黙って聞いていた。
「自分は異世界の人間だから好きになっちゃいけないって分かってても、気持ちを無くすことなんて出来なくて。例え、他の誰かを好きでいようとも…忘れることなんて出来なくて」
エリザベスとメリオダスは想い合ってるのだと、そう思ってた。
けれどエリザベスはメリオダスを大切な仲間としか思っていなくて。なら…メリオダスは…あの子の事をどう思ってるんだろう。メリオダスの片思いになるのか、とか…そんなことを考えてしまう。
私のことを好きになってくれたらいいなって、好きになってもらいたいって、そう思う。
「メリオダスの気持ちが知りたい。聞きたい」
彼の口から、言葉にして聞きたい。
だけど__
「だけど、今は聞かない」
強く、そう言った。
「それを知るのはきっと今じゃないと思うし、それに…答えを聞く勇気がまだ自分には無いから」
例えメリオダスの気持ちが私に向いていようが、そうでなかろうが。
今は知る時じゃないんだと思った。
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きよか。(プロフ) - あぷるさん» 初コメありがとうございます(;_;)掲載当初から…うわわわ…なんと…ありがたいです…(;_;)嬉しいです!あとがき、ちょっと紛らわしかったですがサプライズ、ということで!2年、あっという間です…。まだまだ続きます!ので、ぜひこれからもよろしくお願い致します! (2020年11月30日 22時) (レス) id: 17fe0d2d28 (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - イオさん» ありがとうございます(*^^*)続編、また頑張っていきます!発狂してください、ぜひ!(笑)シリーズ7は12月からスタートになります!もうすぐです…!これからも引き続き頑張っていきますので、楽しんでいただければと思います♪ (2020年11月30日 22時) (レス) id: 17fe0d2d28 (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - 音無さん» うわぁぁ(;_;)長いのに、また読み直してくださってるなんて…嬉しい限りです…。夢主ちゃんの成長を改めて感じてもらえてとても嬉しく思います(;_;)文才なんて、まだまだ全然ですがそんな風に仰ってくださって光栄です…!次はもうすぐです!楽しみにしていてください♪ (2020年11月30日 21時) (レス) id: 17fe0d2d28 (このIDを非表示/違反報告)
あぷる - 初めてコメントさせて頂きます。掲載当初から本当に大好きです。今回あとがきとあって寂しい気持ちになりましたが続編と言うことでおめでとうございます!二年間最高の作品をありがとうございます。無理せず更新頑張ってください (2020年11月29日 18時) (レス) id: 9ae6da1d4e (このIDを非表示/違反報告)
イオ(プロフ) - 続編決定おめでとうございます,十戒編が楽しみすぎて発狂しそうです,更新頑張ってください (2020年11月24日 22時) (レス) id: 13211e3e0a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きよか。 | 作成日時:2020年8月22日 19時