【ﾊｲｷｭｰ!!】天使すぎる君と

07.晴れ ページ7

放課後になっても、雨の強さは朝と変わらなかった。
最悪だ……びしょ濡れ確定じゃないか。



「雨やまなかったね〜。アンタ、どうすんの？」


机の上で項垂れる私を、部活に行く準備をしながら綾子が言う。


「ま、大丈夫でしょ。バカは風邪引かないし。んじゃ、部活行ってきます」

「………」


ひらひらと手を振りながら教室から出ていくその背中を小さく睨んだ。薄情者め。
はぁ、と溜め息をこぼし頬杖をついて窓の外を眺めた。
そして、よっこらせと声をあげて立ち上がり鞄を肩にかける。



「帰るかぁ…」


静かになった教室をあとにし、憂鬱な気持ちで足を動かした。
重い足取りで玄関までたどり着き靴を履き替え外に出た後、思わず“げっ"と声をもらした。

ザー、という雨が地面を叩きつける音がうるさいくらい耳に響く。
自分の横を傘をさして通りすぎていく生徒達。
空を見上げてどうしようか悩むも、やっぱり濡れて帰るしかなさそうだ。
よし、と覚悟を決めて鞄を傘代わりに頭の上まで持っていき走り出そうとした。

その時、突然誰かに腕を掴まれ後ろへ引っ張られた。
トン、と背中に感じる温もり。
驚いて後ろへ振り返ってはその人物に目を見開いた。


「傘無しでこんな大雨の中濡れて帰ったら風邪引くよ！」

「すっ、すすすすす……！」

「え、なに、どした？」

「菅原……君……！」

「う、うん。菅原です」



おかしいな。幻覚でも見てるのかな。
すぐ傍にいるのは今朝も会った菅原君で。
すぐに放されてしまったけど、掴まれていた手首が熱を帯びてるのが分かった。

それに何より、あまりにも近すぎるその距離に気絶してしまいそうになるほどクラクラする。
菅原君は“雨やばいなー"と言いながら眉を下げて困ったように空を見上げていた。
困った顔も素敵です菅原君……ってそうじゃなくて。




「えっ、あああの……なんで菅原君がここに……ぶ、部活は……」

「ん？ああ、体育館が点検入って今日は使えなくてさ。ま、たまには早く帰ってゆっくりするのもいいよな！」

「そ、そうなんだ。バレー部、いつも練習大変そうだもんね」

「最近全然休み無かったからなぁ。だから部活が休みってちょっと変な気分！でも毎日楽しいよ」

「そっか…！」



いや、そっかって何。もっと何かちゃんとした言葉あるでしょ私。
せっかく天使とこうやって再び会話してるっていうのに。
だけど菅原君と会えるとか何これサプライズ？
雨だけど心は晴れだ。万歳ありがとう。

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