【七つの大罪】黄昏の歌姫.2

54.夢は大きく ページ9

「Aのいた世界ってどんな所？」

「…へっ？」


メリオダスがバンを連れ戻すべく帽子亭を後にし、天気もいいので私とエリザベスは二人で外で洗濯物を干していた。
突然のエリザベスの質問に思わず拍子抜けしてしまう。


「エリザベスちゃん聞いたら驚くぜ！この俺様でも信じがたい話なんだからよ」

「別の世界、なんてものが本当に存在するなんて私も聞いたときはとても驚いたわ。Aの国はなんて名前の国なの？」

「えー…と、私の住んでた国は“日本”って所だよ」

「２本〜〜？」

「ホークちゃん、イントネーションが違うかな。ニ・ホ・ン！この世界はなんていうかな、中世ヨーロッパ！って感じ」

「ちゅうせい、よーろっぱ…？」

「あはは！ちょっと難しいね」




ホークちゃんとエリザベスが難しい表情をして首をかしげるその反応に小さく笑ってしまった。


「メリオダスとホークちゃんには話したけど、私の国はこことは全然違うよ。昔は戦争とかあったけど、今は戦いなんてないしすっごく平和」

「まぁ…。そうなのね。とても素敵ね。争いがなく、平和な国…。ここも、Aの国のように何事もなく平和であったらいいのに」


伏し目がちに言うエリザベスに、私は彼女の肩に手を置いて励ますようにポンポンと叩いた。


「私の国は今は平和だけど、またいつ戦争が起こるか分かんないよ。他の国との揉め事だって絶えないし問題はたくさんある。平和がずっと続く保証なんてない」


そんな私の言葉にエリザベスは顔をあげて私を見つめる。


「でもさ、ずっとずっと続く平和！目指したいよね！王国取り戻して、争いなんてない平和な国、平和な世界目指そうよ。そんでもってみーんな、仲良くできたらいいね」

「めちゃくちゃあっさり簡単に言うのなお前。そりゃ無理あるぜ」

「目標は高く、そして夢は大きく、だよ」

「目標は高く…夢は、大きく」


私の言葉を呟くように復唱するエリザベス。
王女として、エリザベスにはこれから色んな苦難が待ち受けてる。
私も、彼女の力に少しでもなれたらいいなって思う。

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