76.聖騎士ルーネス ページ31
顔を見ても、全く思い当たる人物が出てこない。こんな人、原作にはいなかった。戸惑う私をよそに、目の前の彼はニコニコと笑っている。
それが何だか怖かった。その場に座り込んだまま、名前も知らない彼をただ見上げることしか出来ない。
「聞いたよ。君、死者の都でギーラに一撃与えたんでしょ?すごいよねぇ、どこにそんな力あるの?」
「………っ」
「あは、そんな怯えなくていいのに。僕はそこらへんの野蛮な聖騎士とは違うし。紳士な聖騎士だから安心してよ」
僕は安全でーす、なんて軽い口調で言いながら乱暴する意思はないと両手を上げて示す。
そんなの信じられるわけない。
「あなたは…何者?」
「えー、見た感じでわかんない?ほら、この腰の立派な剣。後この立派な鎧」
なんなのこの人。私達の味方でないことは確かなんだろうけど、あまりにも軽い感じとまるで親しい友達にでも話すような口調にどう反応していいのか分からない。
何も言わない私に、彼は深くため息を吐いた。
「これでも一応、立派な聖騎士なんだけどね〜。聖騎士、ルーネス。覚えといて」
聖騎士、ルーネス?
聞き覚えすらないその名前。もしかしたら名前を聞けば思い出すかもと思ったけど、彼から出たその名前はやっぱり記憶には無い。
ベロニカやグリアモールは顔を見て思い出したけど、この人は…。
「どうしたの、そんな険しい顔して。僕があんまりにもかっこよくて見惚れちゃってるとか〜?」
「そんなはずない…」
「あれ、違うの?結構傷つくなー」
「そんなはずない!あなたが聖騎士なんて、…そんなことは、…あなたはいるはずがない!」
「それってどういうこと?」
私はハッとして咄嗟に両手で自分の口を覆った。
「君のその言い方だと、まるで僕が存在してることがおかしい…みたいな風に聞こえるんだけど」
しまった、と後悔しても遅かった。
困惑のあまり、思ったことをそのまま口に出してしまった。
ルーネスと呼ばれるその青年は意味深な発言をした私を顎に手をあてながらまじまじと見つめる。
すると青年、ルーネスは私の方へ近づいてきて目線を合わせるようにしゃがむと、そのまま私の頬に触れてきた。
「っ、さ、触らないで!!」
「!」
「…えっ……」
一瞬何が起きたのか理解が遅れた。
触るなと声をあげた途端、どこからか鋭い突風がふき、それはルーネスの顔すれすれを横切った。
「へぇ」
彼の頬にはかすり傷が出来て、背後の壁は大きく凹んでいた。
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きよか。(プロフ) - アリスさん» いい歌ですよね。儚げな曲調がすごく好きです(’-’*)ありかとうございます!これからも頑張ります♪ (2018年11月13日 23時) (レス) id: 73661a568b (このIDを非表示/違反報告)
アリス - どうも、アリスです。瑠璃色の地球、私の友達が合唱コンクールで歌いました。私も大好きな曲です。これからもがんばってください! (2018年11月13日 18時) (レス) id: 9ad0b945de (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - 糞さん» 盗作被害にあってしまったため、しばらく鍵をつけさせていただいてます。ご迷惑おかけして申し訳ありません(>_<)もし、Twitterアカウントをお持ちでしたら私のプロフ欄にTwitterのIDをのせていますので、そちらからリプかDMをくださればパスワードを教えます。 (2018年9月30日 15時) (レス) id: 73661a568b (このIDを非表示/違反報告)
糞 - 前見たときは、パスワードなかった気がするのに、パスワードがあって、最初が見れない!まぁ、ある程度は覚えているので思い出しながら覚えようと思います!盗作したやつひどいですね。でも、面白いから盗作した!とか、少しでも前向きに思って頑張って下さい! (2018年9月30日 14時) (レス) id: 795dbb3df9 (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - lukulukuippoさん» ほんと、呆れちゃいますよね…。もう二度とこんな目にあうのはごめんです(;_;)生活の中の楽しみと言っていただけるなんて…!そんな大きな存在になれてるのかと思うと本当に嬉しいです!更新はまだまだ続けていきますよ!これからもよろしくお願い致します♪ (2018年9月27日 20時) (レス) id: 73661a568b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きよか。 | 作成日時:2018年7月10日 16時