349.知らぬ場所で ページ26
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「試しに引き戻そうとしたのだが、拒まれた」
「拒まれた…?」
「ああ、引き戻そうとした私の力を拒んだんだぞ。…この娘、ただの平凡な異世界人に見えたがそうでもないらしい」
「それじゃあ一体どうすれば…」
「拒んでる以上、この娘…Aが自力で目を覚ますのを待つしかないんだぞ」
異例の出来事なのか、ザネリは「変わった娘だ」と眠るA見て言う。
引き戻そうとするザネリの力を拒むほど、何かがAに起きているってことなのか。
オレやエリザベスの心配をよそに、穏やかな表情で瞳を閉じているA。
“私、頑張るよ”
試練を受ける直前に力強くそう言ってみせたAの言葉を思い出す。
今、こいつに何が起きてるのか、何を見ているのか、オレには…オレ達には分からねぇ。
けど、頑張るって言ったこいつの言葉を信じてやらなくてどうする。
色んな覚悟決めて、強くなろうと必死になって、努力して、オレ達の力になりたいと言うAの思いを尊重してやらなくてどうすんだ。
「…Aなら大丈夫だ!試練も全部片付けて、絶対戻ってくる!」
「メリオダス様…。…ええ、そうですよね。Aならきっと、大丈夫ですよね」
私達は、信じて待たなくちゃ。と、言うエリザベスに頷く。
そんなオレ達にザネリは小さくため息を吐いた。
「だが、あまりにも目覚める様子がない場合は先程よりも強い魔力を使って無理にでも引き戻すぞ」
「ああ、分かってる」
オレ達は、ただ信じて待つのみだ。
*
「ここ…どこ…?」
私は、全然知らない場所に立っていた。
見覚えもないその場所は荒れ果てていて、崩れた建物…血を流して倒れている人、地面に転がる武器の数々。
倒れている人達に駆け寄り、声をかけたけどみんな息をしていなかった。
生きてる人が誰もいない。みんな、死んじゃってるの…?どうして?
ここは一体どこなの。なんなの。
これも試練なの…?だとしたら一体、何の…。
わけもわからず、雨に打たれながらただただ歩いていると膝をついてこちらに背中を向けている人の姿を見つけた。
咄嗟に走り出してその人の所へ向かう。
「…リズ」
「!」
ピタリ、と足を止めた。
聞き覚えのある声。リズ、と言う知ってる名前。
服装は違えど、よく見覚えのある背中。髪の毛。
見間違いじゃない。
「メリオダス」
だけど、私の声は彼には届いていなかった。
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きよか。(プロフ) - ななしさん» 和解出来ましたー( ; ; )いやぁ本当に…夢主頑張った…(T-T)続編もうすぐ始まりますので、また楽しみに読んでくだされば嬉しいです♪ (2021年11月2日 0時) (レス) id: eb7d68b815 (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - ことみさん» いつもありがとうございます!リズとの出会いのシーンは本当に一番書きたかったシーンだったので、そう言ってもらえて嬉しいです…!もうすぐ続編公開ですので楽しみにしていてください!! (2021年11月2日 0時) (レス) id: eb7d68b815 (このIDを非表示/違反報告)
ななし - 和解できてよかった…!本当に夢主は頑張りましたね。今後の進展もうずうずしながら待ってます!続編よろしくお願いします〜! (2021年10月6日 23時) (レス) @page47 id: 6684c52b13 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 続編も、ドキドキワクワク楽しみにしながら待ってます! (2021年10月4日 16時) (レス) id: 59a391eb70 (このIDを非表示/違反報告)
ことみ(プロフ) - 黄昏の歌姫8シリーズお疲れ様でした!どの場面もとっても心に残ったんですが、リズとの出会いの場面が個人的にとっても胸がドキドキした場面でした!まさかの夢主ちゃんとリズが出会って七つの大罪の世界に来た意味を少しでも知れたのが鳥肌モノでした! (2021年10月4日 16時) (レス) @page47 id: 59a391eb70 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:きよか。 | 作成日時:2021年5月26日 21時