【七つの大罪】黄昏の歌姫.8

341.ザネリの言葉 ページ18

.




「真っ暗ですね……」

「この中にオレの“力”が？」


塔の中は光が全く無い暗闇で、思わず足がすくみそうになるほど。
入り口から離れれば離れるほど光は遮断されていく。
徐々に暗闇に目も慣れ、メリオダス達の少し後ろをついていった。

ザネリさんとメリオダスは、一体どういう関係なんだろう。
実は昔、恋人同士だった…とか？もしくは、ザネリさんの片想い…？


「おいA、んな後ろの方歩いてたらはぐれちまうぞ」

「あ！ご、ごめん！」


考えたって仕方ないよね。今はこれからやるべきことに集中！
後ろを歩く私に声をかけてきたメリオダスに、慌ててそばまで駆け寄った。
エリザベスが、はぐれないようにと手を取り握ってくれる。
私達はこれから何をするんだろう。
少し歩くと、ザネリさんが足を止めてこちらを振り返った。


「メリオダスにはこれから試練を受けてもらうぞ。“力”を返すのはその結果次第」

「え…」

「ふーん、要は試練てのに合格すりゃいいんだろ？」


どうやらすんなりと返してもらえるものではないらしい。
するとザネリさんは私とエリザベスへ視線を向ける。


「お前達２人にも、試練を受けてもらうぞ」


その言葉に思わずゴクリと唾を飲む。
試練…って聞くと何だか身が引き締まるような感じだ。真っ暗な塔の中で行われる試練って、どんな試練なんだろうか。
緊張で表情を強張らせていると、ザネリさんが私の方へ近づいてきた。


「お前に関しては、この世界の人間ではないようだから少し特例だがな」

「えっ！」

「ザネリ、Aが異世界から来たって知ってたんか？」

「私達に分からぬ事などないぞ。微量にしか感じ取れないが、お前から感じる異色の魔力の流れ…。通常の魔力の中に僅かに感じ取れる。何ともおかしな娘だぞ」

「お、おかしな…」


ま、まぁ、そう思われても仕方ないよね…。
ザネリさんの言葉に苦笑いを浮かべる。


「お前は、この世界と元いた世界…どちらかを選ぶ覚悟はしているのか」

「それなら…！もうとっくに覚悟は出来てます。この世界で生きる覚悟を」

「…マーリンから聞いているかもしれないが、かつてお前のように突如としてこの世界へ飛ばされた人間がいた。何を理由にこちらへ飛ばされたかは明らかになっていない。時空の歪みの中に偶然入り込んだのか、もしくは必然的なものか、定められた運命か」


それはきっと考えたってキリがないことだ。
ザネリさんの言葉を頷きながら黙って聞いていた。

342.試練の始まり→←340.塔の中へ

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す