41.曖昧になる記憶 ページ43
どうして今まで全く気がつかなかったの？
私はようやく、ダナ先生の傷がエリザベスが無自覚に発動した治癒魔法のものだと気がついたのだ。
そして、メリオダスの肩の傷もそう。
私は原作を読んだし、先のことを知ってる。
だけど私………。
ダナ先生が死ぬ、って思ってた…よね。
それでこうして後になって、思い出す。
正直、バステへの道中で起こる事さえ今記憶が曖昧だ。
ただの物忘れにしては……少し、変じゃない？
「…ダナ先生は、生きて…ますよね？」
「あ、あぁ…確かに深い刺し傷があったはずなんだが、塞がってる…。息もしてるし今はただ眠ってるだけみたいだ」
「本当にどうなってるんだ？」
不思議そうにする周りの人達。
私は静かに呼吸をする先生を見つめた後、部屋から出た。
＊
さっきまでの戦いが嘘みたいに、町は静かだった。
頬を撫でる心地よい風。太陽がオレンジ色に染まりかけている。
「……先の記憶が…、曖昧になってきてるのかな」
ポツリと小さく呟いたその言葉は誰にも聞こえていない。
ただちょっと忘れちゃってるだけなら、まだいい。だけどそうじゃないなら…。
試しにバステからその先のことを思い出そうとしてみるけど、なんだっけ、どうだったっけ、とやっぱり曖昧なもので。
全く覚えていないってわけでもない。だけど重要な部分が思い出せない。
この世界に来た反動か何か…なのかな。
いっそこの世界の全ての記憶を無くしたかった。そうしたらこんなに悩まなくて済んだ。
断片的でしか思い出せなくなってしまった記憶に、心がモヤモヤしてしまう。
「はぁ、…もう、なんにも考えたくないや…」
こんな時は、歌って暗い気持ちをどうにか紛らわしたい。
視界に入った小さな階段の段差に腰をおろした。
頬を撫でる風にゆっくりと目を閉じて、私は静かにメロディーを口ずさむ。
「お姉ちゃん歌すっごく上手だね！」
歌い終えた途端に聞こえてきた声に目を開けると、そこには数人の小さな子供達がいて、キラキラした目で私を見て、囲んでいた。
「い、いつの間にいたの…！？」
「んー、結構前から？」
「お姉ちゃん目閉じてたから気づかなかったんだね！」
「うわぁ、恥ずかしい…」
全然これっぽっちも気づかなかった…なんなら気配すらも。歌うと完全に自分の世界だ。
すると子供のうちの１人が私の服の裾を引っ張った。
「ね、もう一回歌って！」
そのキラキラした眼差しに、私は笑顔で頷き、もう一度歌った。
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アイル(プロフ) - イメ画可愛いですね！どんなアプリ使ってるんですか？ (2018年11月6日 11時) (
レス) id: 71579a9d7e (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - カナリアさん» 気に入っていただけて嬉しいです(>_<)これからも更新頑張っていきますので楽しみにしてくださればと思います(’-’*)♪ (2018年8月25日 13時) (レス) id: 73661a568b (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - これはまったかもしれないですこの作品私気に入りました (2018年8月25日 0時) (レス) id: 207c22caf3 (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - ゆら！ さん» コメントありがとうございます♪ドキドキしていただけてとても嬉しいです(’-’*)♪ (2018年8月19日 17時) (レス) id: 73661a568b (このIDを非表示/違反報告)
ゆら！ - もうドキドキが止まらないですぅ〜。 (2018年8月18日 3時) (レス) id: e1ed62eaa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きよか。
| 作成日時：2018年6月6日 15時
