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03.出会えた喜び ページ4

「メリ…オダス……」

「ん?俺、お前とどっかで会ったか?」


ハッ、として私は自分の口を両手で抑えた。
しまった…!つい名前を言ってしまった。
でもそうか。この子、やっぱり…あのメリオダス…なんだ。
なんて夢を見てるんだろう私は。


「あ、はは…!いえ、あの、なんでもないんです…!なんとなく、もしかしてそんな名前かも?って思って」

「そんな能力あるなんてすげーな!」

「いえ、能力…とかでは…」



いやもうここはそういう事にした方がいいのだろうか。これ以上あんまり口を滑らせてはいけないと思い、私はひたすら苦笑いを浮かべた。
これは夢、これは夢、これは夢…!現実なんかじゃない。夢だ、夢。
夢だとしても、一番大好きなキャラクターであった彼が目の前にいるんだ。私の胸はドキドキとうるさい。
平常心を装うのがつらい。


「えっと、それじゃあ…私は、あの…これで!」

「あ、おい!」

「って、うぎゃ!?」

「あちゃー…ちゃんと足元見ねぇからだぞ。大丈夫か?ほれ」



慌てすぎて足を滑らせ、そのまま地面に尻餅をついてしまった。
痛い、物凄く。とても痛い。夢なのに。
夢なのにこんなに痛みを感じるものなの?そんなわけない。
それじゃあ、なに…?


「これ、夢じゃないの?」

「夢?何言ってんだ?んなことより、ほれ!立てよ」

「わっ」


グイッ、と腕を引っ張り起こされる。
その衝動でバランスを崩してしまうけれど、彼、メリオダスが私の体を支えてくれた。あまりに近い距離に咄嗟に彼から離れた。
ちゃんと、体温を感じた。人の体温だ。彼は、本物だ。夢なんかじゃなく、現実。本物の、メリオダスだ。
気がついたらボロボロと涙が頬をつたっていた。


「そんなに泣くほど痛かったんか?どれどれ、確かぶつけたのは尻だったな〜、と」


そう言って私の背後にまわって、ドレスの裾をピローンと持ち上げてくるメリオダス。やっぱりメリオダスだ、こういうところは。間違いない。
ドレスをめくられようとしてるのにも関わらず、私は抵抗するどころか涙が止まらない。
会えて嬉しい。同時に、彼と出会ってしまったんだと、切なく胸が苦しくなった。
泣きじゃくる私を見て、メリオダスは困ったように頭をかいた。


「んー、とりあえずお前、うちの酒場寄ってったらどうだ?」


なっ?と笑顔を向けてくる彼に、私は迷いながらも小さく頷いた。

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設定タグ:七つの大罪 , メリオダス , トリップ   
作品ジャンル:恋愛
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アイル(プロフ) - イメ画可愛いですね!どんなアプリ使ってるんですか? (2018年11月6日 11時) (レス) id: 71579a9d7e (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - カナリアさん» 気に入っていただけて嬉しいです(>_<)これからも更新頑張っていきますので楽しみにしてくださればと思います(’-’*)♪ (2018年8月25日 13時) (レス) id: 73661a568b (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - これはまったかもしれないですこの作品私気に入りました (2018年8月25日 0時) (レス) id: 207c22caf3 (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - ゆら! さん» コメントありがとうございます♪ドキドキしていただけてとても嬉しいです(’-’*)♪ (2018年8月19日 17時) (レス) id: 73661a568b (このIDを非表示/違反報告)
ゆら!  - もうドキドキが止まらないですぅ〜。 (2018年8月18日 3時) (レス) id: e1ed62eaa4 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:きよか。 | 作成日時:2018年6月6日 15時

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