02.いるはずがないのに ページ3
「……あれ？」
目を覚ますとそこはさっきまでいた場所とはまるで違う場所で思わず目を何度も瞬きさせた。
ここは、森……？
「えっと、え…？な、なんで？」
おかしい。だって私はさっきまで確かにホールの舞台にいたのに。あれは夢だったの？
いや、むしろこれが夢？ああもう何がなんだか分からない。
緊張で気を失ってしまったところまでは覚えてる。それが起きたらこんな森だ。
とりあえず体を起こして辺りを見渡してみる。
「なにもない…」
着てる服……は、ドレスのままだ。
パンパン、とドレスについた汚れを払ってとりあえず適当に歩いてみる。
天気が良くて、木々をすり抜けて入ってくる太陽の光がすごく心地いい。
「夢、なのかな」
もうなんでもいいや。
あの場所から解放されたんだから、どうだっていい。夢なら夢で、覚めるまで待てばいいんだし。
しばらく歩いてると、川を見つけた。
私は、思わずパッと笑顔になり、ドレスの裾を持ち上げて駆け出した。
靴を脱いで、そっと足を川に入れる。
「気持ちいい〜…」
都会生まれ都会育ち。こういう大自然に囲まれて川で遊ぶって、ずっと憧れてたなぁ。
ふふ、と小さく笑う。
すぐそばにあった大きな岩に腰かけて、足を小さくバタつかせてチャプチャプと水音を立てる。
ここで歌ったら、気持ちいいだろうな。
そんなことを思う。
ここには、誰もいない。
期待の眼差しを向ける親戚や音楽関係の人も、お母さんも。ホールにいたお客さんも。
誰も、いない。そう、今ここにいるのは私だけ。この広くて綺麗な森に、私だけなんだ。
「……」
大きく息を吸った。
最初は小さく、でも徐々に声が大きくなっていく。
歌詞にメロディーを乗せて。
なんて気持ちいいんだろう。なんだか自由にでもなったような、そんな気分だ。
心地よい風に、目を閉じて、私は歌い続けた。
突然、ガサッと背後から音がしてピタリと歌うのをやめた。
誰…？人？もしかして、なにか、獣？
すぐさま川から足を上げて立ち上がり、音のした方をじっと見つめる。
すると森の草むらから出てきたのは、金の髪にエメラルドグリーンの瞳をした男の子が出てきた。
私は思わず目を見開く。
「よっ！お前、歌上手なんだな」
嘘だ。こんなの。あるわけない。
ニシシ、と笑うその男の子を私は知っている。
なんで？なんでここに、いるの？
「…メリ……オダス」
その男の子は、私が集めている漫画の主人公の彼そのものだった。
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アイル(プロフ) - イメ画可愛いですね！どんなアプリ使ってるんですか？ (2018年11月6日 11時) (
レス) id: 71579a9d7e (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - カナリアさん» 気に入っていただけて嬉しいです(>_<)これからも更新頑張っていきますので楽しみにしてくださればと思います(’-’*)♪ (2018年8月25日 13時) (レス) id: 73661a568b (このIDを非表示/違反報告)
カナリア - これはまったかもしれないですこの作品私気に入りました (2018年8月25日 0時) (レス) id: 207c22caf3 (このIDを非表示/違反報告)
きよか。(プロフ) - ゆら！ さん» コメントありがとうございます♪ドキドキしていただけてとても嬉しいです(’-’*)♪ (2018年8月19日 17時) (レス) id: 73661a568b (このIDを非表示/違反報告)
ゆら！ - もうドキドキが止まらないですぅ〜。 (2018年8月18日 3時) (レス) id: e1ed62eaa4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きよか。
| 作成日時：2018年6月6日 15時
