いまはその言葉に救われる ページ6
．
「Aさん！来てくれたんだね」
「久しぶり〜」
＿＿はい、どうぞ。
さっきここに来る前に、神社で買ってきた小さい紙袋を太陽くんに渡す。
「ぼくに？」
「もちろん」
太陽くんが袋を開けて逆さにすると、緑色の小さなお守りがコロリと転がって出てくる。
それが何か理解していない様子の太陽くんに「それ、健康のお守り」と付け加える。
「けんこう？」
「元気にサッカーができますようにってこと」
「わあー！ありがとう！大切にする！」
太陽くんの笑顔が今は眩しすぎて、曖昧な表情で笑い返す。
「また何かあったの？」
「……来るんじゃなかった」
「ふっふーん！ぼくに隠しごとなんてひゃくねん早い」
「そんなのどこで覚えたの」
「このまえ見たテレビ！」
太陽くんのベットの端に座り「毎回相談しちゃってごめんね」と謝る。
「別に平気だよ！Aさんがこうやって話してくれるの嬉しいから」
「……優男め」
「やさお？」
……また変な言葉を覚えてしまうので、これ以上は控えておこう。僕が口を閉じると、どう解釈したのか、太陽くんは眉を下げて辿々しく話し始める。
「Aさんはぼくよりも年上だし、ぼくが知らない難しい経験はいっぱいしてるだろうからぼくは上手いことは言えないと思う……」
＿＿でも、でもね！
太陽くんは拙い言葉ながらも、一生懸命に言葉を紡いでいく。
「Aさんなら大丈夫！」
この子の笑顔は、ほんとうに太陽のようだ。
「うん、頑張る……負けない」
「そのいきだよ！一緒にがんばろっ！」
絶対に、何が何でも、
皆を助けるから＿＿＿＿。
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作者名：ねぐせ | 作成日時：2013年7月31日 16時
