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言わなきゃいけない。それはずっと前からわかっていた。これが彼を苦しみから解放する答え。
「会うのは最後にします」
SC「いきなりどうして…」
「もう…一人でちゃんとステージに立てますから」
スンチョルさんの顔が見れない。薄暗いその先で、彼はどんな顔をしているんだろう。
でも、私は苦しむ彼を解放したい。それはこの関係や自分自身に苦しんでいるのがわかるから。
「私、知ってるんです」
SC「なにを？」
「スンチョルさんが疲れて、苦しんでるんだって…」
SC「…A、オレ、今のままでいい…これ以上…」
「私のために自分を削らなくていいんです」
そう言って彼の頭を撫でる。優しく、丁寧に。脱色したり色を入れたりして少し傷んでしまった、髪の毛の柔らかさとその細さが感じられるように。
「私なら大丈夫です。…スンチョルさんも、そうでしょう」
お互いの弱みをわかってしまう。同じような苦しみを抱えて、それに向き合おうとしながら逃げてしまう。
もう片方の手を取って、彼の手を握りしめる。冷たくて、少し震えた手が重なった。
先輩も後輩も関係なくて、スンチョルさんと私が関わり合いを持ち、お互いの時間を共有し、気持ちを分け合っている。
SC「…でもA…」
「わかってますよ」
彼の言葉を遮る。言わないでほしい。最後の最後まで守ろうとした私の気持ちを、最後だからといって壊さないでほしいと。
ぎゅっと力を入れて震える唇。我慢していた涙が静かに彼の頬を伝う。
コンコン
ドアを叩く音が聞こえる。
「もう…いきますね」
SC「……うん」
「いきなり来てごめんなさい。今日はゆっくり休んでください」
SC「A」
吸い込まそうなほど深い瞳。最後の最後まで、私は自分の気持ちを捨てきれない。
SC「来てくれてありがとう」
その言葉に、なにか返事をしてあげればよかったのだけれど、声に出したら全てが終わってしまいそうで、私の我慢しているこの悲しみを押し殺すのに必死で、ただうなずいて返事に替えた。
「Aさん、そろそろ…」
「はい。お時間をいただきありがとうございました。失礼します」
マネージャーさんとスンチョルさんにそれぞれ一礼する。彼のことを振り返らずに、そのまま病室を出た。
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にこ(プロフ) - 続き待ってます！！ (2022年8月8日 20時) (
レス) @page43 id: d0206497b3 (このIDを非表示/違反報告)
赤福食べたい(プロフ) - このお話大好きです..！文面にも内容にも、本当に惹かれます。言葉の選び方など、素晴らしくて..素直に感情移入できて、ボロ泣きです（泣）どうか2人にとって良い未来を..無理せず更新頑張ってください！ (2022年7月23日 23時) (レス) @page43 id: ae3f32f87f (このIDを非表示/違反報告)
あみだけどうぉぬよんのtastyが忘れられない人(プロフ) - 嬉しいです！ (2022年7月18日 12時) (レス) id: 943b446d66 (このIDを非表示/違反報告)
ジェンガ - あみだけどうぉぬよんのtastyが忘れられない人さん» お返事が大変遅くなってしまいました。これから少しずつ書き進めていく予定です。よろしければ、ぜひ続きを読んでくださるとうれしいです！ (2022年7月18日 10時) (レス) id: 4a7a083819 (このIDを非表示/違反報告)
あみだけどうぉぬよんのtastyが忘れられない人(プロフ) - 何度も読み返しています。また時間のある時にお話を増やしてくださったら嬉しいです。 (2021年12月14日 11時) (レス) id: 943b446d66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ジェンガ x他1人 | 作成日時：2020年5月22日 21時
