. ページ5
.
NY「Aがエスクプス先輩のこと心配してる姿を見て、気が付いたの」
「……」
NY「冷静じゃないAをはじめて見たって。今までAは私たちのことを大切にしてくれて、いつでも優しくしてくれた。でもそれってもしかしたら、Aが負の感情みたいなものを自分で殺してきてくれたんじゃないかって、そんなふうに思ったの」
「ナヨン…」
NY「もっと早く気付いてあげればよかったね」
ナヨンと私は楽屋の外に出て、誰もいない廊下の隅で椅子に腰掛ける。
NY「エスクプス先輩のおかげなんだと思うの。こうしてAが少しずつ変われたところ」
「…それはいつから…」
NY「もう何年も一緒にいるんだよ。わからないわけないでしょう」
何年も一緒にいるのに、向き合おうとしなかったのは私のほう。なにも言わなければ彼女たちは気づかないと思っていたけれど、そんなことない。いつだって私の変化に気づいて心配してくれていたんだ。「それに」とナヨンは付け加える。
NY「私、今回エスクプス先輩とパートナーだったでしょ。そのとき私がAのおかげで雰囲気が良くなったんですって言ったら」
『周りの些細な違和感や変化に気づく子なんだよ。だから自分を犠牲にしがちだから…もう少しだけ気をつけてあげて』
NY「そう言われて、何年も一緒にいる私よりもAのことをわかっていて…悔しかったけど、同時に…きっとそういうことなんだろうなって気づいたの」
弱々しく笑ってから、「もっと早く気付けなくてごめんね」と言う。
みんな私に謝る。スングァンさんも、ナヨンも…そしてスンチョルさんも。それぞれが私に対して、申し訳なさと後ろめたさを感じている。
「謝らないで」
でもどれも私が生み出してしまったもの。私がもっと自分の気落ちを彼女たちに伝えていたら。もっと、明確な答えを出していたら。
「はっきりしない私が…、そう思わせちゃってるんだから」
NY「そんなこと言わないでよ」
「ううん…、自暴自棄になってるわけじゃないよ。ただ本当にそうなの」
もしもを繰り返すのなら、それを実現すればいい。そうしたら後悔と苦しさから解放される。
NY「私はAの選択を尊重する。それで誰かの迷惑になるなんて考えないで」
ナヨンのその言葉には素直に肯けなかった。そのままでいいとみんなは言ってくれるけれど、複雑な想いをさせてしまっている。その事実は決して忘れてはいけない。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 761人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
にこ(プロフ) - 続き待ってます！！ (2022年8月8日 20時) (
レス) @page43 id: d0206497b3 (このIDを非表示/違反報告)
赤福食べたい(プロフ) - このお話大好きです..！文面にも内容にも、本当に惹かれます。言葉の選び方など、素晴らしくて..素直に感情移入できて、ボロ泣きです（泣）どうか2人にとって良い未来を..無理せず更新頑張ってください！ (2022年7月23日 23時) (レス) @page43 id: ae3f32f87f (このIDを非表示/違反報告)
あみだけどうぉぬよんのtastyが忘れられない人(プロフ) - 嬉しいです！ (2022年7月18日 12時) (レス) id: 943b446d66 (このIDを非表示/違反報告)
ジェンガ - あみだけどうぉぬよんのtastyが忘れられない人さん» お返事が大変遅くなってしまいました。これから少しずつ書き進めていく予定です。よろしければ、ぜひ続きを読んでくださるとうれしいです！ (2022年7月18日 10時) (レス) id: 4a7a083819 (このIDを非表示/違反報告)
あみだけどうぉぬよんのtastyが忘れられない人(プロフ) - 何度も読み返しています。また時間のある時にお話を増やしてくださったら嬉しいです。 (2021年12月14日 11時) (レス) id: 943b446d66 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ジェンガ x他1人 | 作成日時：2020年5月22日 21時
