閉じられた本心 ページ16
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一週間後、予定通り、熱愛報道がインターネットの記事となった。すぐにSNS上では私たちの名前が不名誉なことにトレンド入りを果たしてしまった。
NY「A、エスクプス先輩とは…」
「会社から前の携帯取り上げられちゃって…もう連絡も取れないの」
NY「そっか。…本当にもういいの?」
宿舎のソファの上でスマホを握り占める私を見かねて、ナヨンがやってきた。
そんなこと言われたって。
案の定、ネットでは散々な言われようだった。
<スンチョルをたぶらかさないで>
<Aって男好きそうだよね>
本心は、胸の奥底に隠してしまった。隠したこともわからないように、私は気づかないふりをしている。
でもちゃんとわかっている。隠したところでなんの意味もないこと。
スンチョルさんのことをそんなに簡単に忘れられるわけない。
だって、今も、スンチョルさんへの悪口が自分の目に届かないだけですごく安心してる。ネットでの批判が弱々しく、傷つきやすく、脆いあの心を追い詰めなければいいと、そればかり願っている。
疲れたあの瞳。
私を優しく撫でるあの手の温もりと感触。
全ては夢だと思っても、あの瞬間に私たちの想いはちゃんとお互いに向き合っていた。だからこそ、忘れられるわけない。
「もういいの」
NY「でも私…二人はすごく…」
「迷惑はかけられないから」
NY「でもちゃんと事務所に話して…」
「認めてくれないよ」
私の願いは現実に阻まれる。
でもそればかりじゃない。
スンチョルさんはステージに立つことを恐れながらも、そこから離れられない。私を止めなかったこともきっと、私よりもセブンティーンというかけがえのない仲間とその輝きを失いたくないから。そう考えて当たり前だ。
私ははじめから彼の天秤にかけられることも、選択肢にもなかった。
「それに、私はまだ守れる立場じゃない。守られる立場なの」
NY「だから…自分はなにも言わないの?」
「…当たり前じゃない。それがこの世界の常識」
NY「私は少しくらい誇示してもいいと思う。それが間違いでも」
「…間違いは許されないよ。そんなことわかっててできない」
そう言うと、ナヨンは黙ってしまった。それでもまだ何か言いたげだったが、私を説得しようとしても無理だと思ったみたいだ。
ナヨンの言うように、なにか自分の中で大切にしたいものを誇示できたらどれほど気持ちが楽だろうか。
でも私はまだ弱すぎて、スンチョルさんを守ることができない。
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にこ(プロフ) - 続き待ってます!! (2022年8月8日 20時) (レス) @page43 id: d0206497b3 (このIDを非表示/違反報告)
赤福食べたい(プロフ) - このお話大好きです..!文面にも内容にも、本当に惹かれます。言葉の選び方など、素晴らしくて..素直に感情移入できて、ボロ泣きです(泣)どうか2人にとって良い未来を..無理せず更新頑張ってください! (2022年7月23日 23時) (レス) @page43 id: ae3f32f87f (このIDを非表示/違反報告)
あみだけどうぉぬよんのtastyが忘れられない人(プロフ) - 嬉しいです! (2022年7月18日 12時) (レス) id: 943b446d66 (このIDを非表示/違反報告)
ジェンガ - あみだけどうぉぬよんのtastyが忘れられない人さん» お返事が大変遅くなってしまいました。これから少しずつ書き進めていく予定です。よろしければ、ぜひ続きを読んでくださるとうれしいです! (2022年7月18日 10時) (レス) id: 4a7a083819 (このIDを非表示/違反報告)
あみだけどうぉぬよんのtastyが忘れられない人(プロフ) - 何度も読み返しています。また時間のある時にお話を増やしてくださったら嬉しいです。 (2021年12月14日 11時) (レス) id: 943b446d66 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ジェンガ x他1人 | 作成日時:2020年5月22日 21時