12歳の冬の日 ページ6
『え？軍学校って貴族様も入んの？』
じきに13歳となる冬に
軍学校に進学する事を彼に告げた
厚手の工場の人が着るような上着を
袖を余らせるように着る彼の下の服は
夏場とあまり変わらない
まあ彼は夏でも長袖だったからかもしれないけれど
袖もまくらず頑なに肌を露出しようとしなかった
gr「一応選べるんだ…両親にはあまりいい顔はされなかったがな」
『へぇ〜そんな危ない場所、行かなきゃいいのに』
グルッペンには似合わんよ
…なんて珍しくやんわりと俺の決定を否定する
彼と俺の身長は出会った時から変わらず
殆ど同じ様に成長しているから目線はすぐに交差する
gr「お前もこの冬明けに入学だろ？…平民は強制と聞いたが」
『…あー、まあね、そんな楽しみじゃないけど』
いつもと違って歯切れが悪そうに話す彼は
余らせた上着の袖で遊ぶだけだった
本当は喜んでくれるのではないかと思っていたから予想外の反応に少しまごついたけれど
…懐で温めておいた包紙を取り出して
彼の袖の位置へとポトンと落としてやる
驚いたように引っ込めていた手を出して受け取ると
彼はその包紙と俺の顔を何度も何度も往復させた
gr「フッ、気になるのなら開けてみればいい」
恐る恐るといった風に丁寧に包紙を開いて箱を開ける
そこに在る十字架のネックレスはキラリと
雲の合間から少しだけ顔を覗かせた太陽に反射した
『…なんで？』
gr「お揃いにしたかったから、だ」
そう言って予め首元にかけておいた揃いのネックレスを引っ張り出すと息を飲む様にピタリと彼は静止した
少しして受け取ったその十字架を祈る様に手に包み込んだあとで黙って俺にその手を突き出す
…もしかして気に入らなかったのだろうか？
そんな思いと裏腹に彼は嬉しそうに口角を上げる
『ねえ、グルッペンが俺に付けてよ』
悪戯っ子の様ににんまりと笑う彼から
ネックレスを優しく受け取って
そっとその細く真白な首元に飾ってやると
彼は満足そうに口元を緩ませた
気に入ってもらえたようで何よりだという安堵感と
もっと笑顔を見せてほしいという欲の中
俺はまたある1つの提案を重ねた
gr「もし軍学校でいい成績を収めたら、俺が頼みを聞いてやらん事もない」
『へぇ…じゃあ主席になり続けてやる』
gr「…やけに大きく出たな？」
『ひひっ、言質はとったからな』
普段と変わった好戦的な声色で
俺の目論見通りに彼の口角は綺麗な弧を描いた
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仮想話(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» とても嬉しいお言葉をありがとうございます！上手とは言い難い文章ではありますがこれ程までに褒めてくださり感無量です、最後まで好きに書かせて頂きます〜！ (2020年11月14日 12時) (
レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 好きです（唐突）。もうほんと好きです。夢主くんもgさん他のwrさん達もほんと信頼関係…ｯ！無理せずに、無理せずに！頑張ってください！応援してます！！ (2020年11月14日 5時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：仮想話 | 作成日時：2020年10月24日 10時
