8つになっても訪れる ページ4
それからその男の子とは例の大きな木の下で
約束をせずとも会うようになってからは
月日の流れが早く感じるようになった
きっと彼が無断で侵入してるんだろうとは思うけれど同じくらいの歳の子とこんな風に接して貰うのは初めてで
親や執事に伝えたらきっと彼はすぐに追い出されて2度とここに来れなくなってしまうのだろうと思った
だから俺は黙ってその密会を楽しみに
勉強や口煩い家庭教師を相手に日々を過ごしていた
『ほーん、貴族ってやっぱ勉強する事多いんだ？』
gr「まあな、1番嫌いなのはマナー講座だな」
『グルッペン君めぇ〜っちゃ嫌いそ〜』
ケラケラ笑う彼はいつの間にか木の上からではなく
俺の隣に並んで話に花を咲かせる事が多くなった
そしてこの日は俺がさっきまで勉強をしていた本を持ってきたまま復習をしていたんだったな
『…ここ、こうして覚えた方がいいよ、ちょっと間違ってる』
俺はその指摘に大きく驚いた
スラム育ちのような出で立ちで文字が読めた事もそうだがそれ以上に
gr「なんでお前がそんな事を知っているんだ？」
持っていた本は俺の家が代々守ってきたこの国の歴史書とされるもので
大事にされているこの本が間違っているわけなんてないと心の底から思っていたからだ
『お？じゃあ根拠になる資料持ってきてあげるよ』
ひっひっひ、と不安になるような笑い声を上げる彼に好奇心は燻られる
gr「…そんなもの本当にあるのか？」
『あ、信じてないだろ？』
gr「だって俺はこれしか知らん」
思ったまま返答をすると彼は少しぽけっとした後で
楽しそうに口元を緩ませてから
トンッと俺の眉間に人差し指を当てて笑った
『世界は、自分の周りだけじゃないんだよ』
そう言って指を離していつものように
空を見上げる彼に倣って共に天を仰ぐ
1匹の鷹が鳴き声を上げながら
その晴れ渡った空を自由に飛び回っていた
『…空ってキレーと思わん？お前の目の色と似てるからかな』
伸びをしながら俺の目を覗き込む彼は
いつもと変わらず他の者より距離が近い
顔を逸らしてしまったのは別に
照れたわけではないけれど
gr「じゃあ…Aはあれだ」
俺がちょいっと指差したのは
花壇に咲いていた一面の向日葵
愚直に太陽を指すのは些かクサイように思えたから
そう思いながら少しの葛藤の末に選んだものだった
『…嬉しいかも』
そう言った彼はやはり太陽の花に似た笑顔を綻ばせた
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仮想話(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» とても嬉しいお言葉をありがとうございます！上手とは言い難い文章ではありますがこれ程までに褒めてくださり感無量です、最後まで好きに書かせて頂きます〜！ (2020年11月14日 12時) (
レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 好きです（唐突）。もうほんと好きです。夢主くんもgさん他のwrさん達もほんと信頼関係…ｯ！無理せずに、無理せずに！頑張ってください！応援してます！！ (2020年11月14日 5時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：仮想話 | 作成日時：2020年10月24日 10時
