▼君が決めたなら【主】 ページ29
【A 視点】
首元にかけた彼から貰った十字架を握りしめ父上様の部屋に入る前に精神を落ち着かせる
…まさかグルッペンが軍学校に進むとは思っていなかったから驚いた
それは、聡明な彼はきっとこのまま血を見る事もなく争いもせず幸せに過ごして欲しいと願っていたからこそ、俺は酷く動揺したし、ふんわりと「考え直して」と口にした
『失礼致します、父上様』
しかし彼の目は爛々と輝いていたから、俺はそれ以上何も言えなかった
『話したい事があります…発言しても？』
久々に入った父親の部屋は紫煙に塗れており、煙管を持つ彼の指や腕はまた一段と細くなっている気がした
父親は無言で何を言うわけでもないので、俺はいつも通り肯定と受け取り、話を続ける
『ありがとうございます……私はガォナァを名乗る事なく、一般学徒として軍学校に進みたいと思っています』
「なぜ」
『最初からお国のお抱えになるのではなく、内部で色々な情報を集める方が効率的かつ成長率も高いと思うのです』
本来ならばガォナァとして特殊な訓練を受けた一族の俺はこのまま13歳を迎えると国への忠誠を誓い、そのまま暗殺部隊に配属されることになる
しかし、それではいざという時彼を守る事はできない
『それに…私はこのような見た目でガォナァの一族だと贔屓される訳にもいきませんから』
「…ククッ！そうだとも、自分の立場をよく弁えられるようになったのだなぁ」
愉悦、愉悦と喉を鳴らして高笑いをする父は二、三咳き込んだ後、嬉しそうにクシャクシャの顔に更にシワを寄せる
「一族のことはチーノに全て任せて、お前はチーノの言葉のままに動きただ使命を達成する事が出来るように軍での経験は役に立つだろう」
目の前の現ガォナァ一族の当主は小刻みに震え続ける手でまた煙管を口に食んだ
幸いにもグルッペンは貴族だ、きっと戦略科に行くのなら彼らの安全はある程度は保証されるし、在学中に戦場に出されることなどない筈だ
それならば俺は彼が自分の能力を開花させる前に、国王に使えるコマだと消費されないように、思う存分に目立って「あのコマが欲しい」という注視を一身に浴びることにしよう
俺は最強の暗殺一族の中で既に最強なのだ、素人ばかりが集う軍学校で首席になり早くから戦場に出されることも容易いだろう
「死んでも骨は拾わんからな」
『はい、父上様』
グルッペンが幸せにその瞳を二度と開ける事がないと断定するまで、俺は死ぬ気はないけど
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仮想話(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» とても嬉しいお言葉をありがとうございます！上手とは言い難い文章ではありますがこれ程までに褒めてくださり感無量です、最後まで好きに書かせて頂きます〜！ (2020年11月14日 12時) (
レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 好きです（唐突）。もうほんと好きです。夢主くんもgさん他のwrさん達もほんと信頼関係…ｯ！無理せずに、無理せずに！頑張ってください！応援してます！！ (2020年11月14日 5時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：仮想話 | 作成日時：2020年10月24日 10時
