彼の残した ページ17
そろりと窓から庭を見下ろすと、爛々と太陽を浴びる向日葵が、あの襲撃のあった日と変わらぬ姿で一様に太陽の方を見上げていた
とち狂ったような暑さは日に日に上昇し、未だに血痕の残っている場所ではその匂いが鼻につく
俺は彼を思い浮かべては、その胸の気持ち悪さをどう誤魔化せばいいのか、ただそればかりに頭を動かしては無意識に呟いている
gr「彼奴はまだ戻らんのか…」
os「大先生たちが今も探してくれとるんやけど…なぁ」
手元に残ったのは彼が去る前に被された薄汚れた帽子だけで、その他は武器すら見つからないまま5日も過ぎてしまった
傷の手当と回復、建物の改修を優先してトントンが指揮を取るように幹部や元気な兵士達がそれにあたっている
襲撃時、何もできなかったと落ち込んでいたオスマンは体力がないのに際限なく一心に働いてしまっていた為、俺と共に書類を片手に執務室に残っている
今だって、普段は閉じ切ったままの糸目は深いエメラルドグリーンを顕にしながら、そわそわとその体を揺らしていた
最中、バタバタという足音が響く
普段はそんな無作法に入ることは許されない、執務室の扉を派手に音を立てて開けたのは、肩を上下させて呼吸をするシャオロンだった
俺たちが一斉に顔を上げると、彼はバツが悪そうに顔を背ける
sha「…アイツの部屋の中、探したらあってん」
そう言ってシャオロンが取り出したのは、恐らく襲撃時に彼が着用していたのであろう、血に濡れたまま固まってしまっている、左袖が大きく切れた軍服と彼専用の靴
それと更にもう一つ、俺が彼を例えた一輪の花が机の上に並べられた
gr「向日葵、か」
ご丁寧に黒のリボンがかけられたその花は殆ど枯れてしまっていた
シャオロンのその目の下はうっすらと黒ずみ、普段は睡眠時間が足りないと決まって文句を言っているくせに必死に探し回っていたことがその様子から容易に予測できた
彼の大きな瞳が潤んで大粒の涙は頬を伝って握りしめた新しい軍服の上へと落ちる
sha「俺っAが今、この世におるんかさえっも、信じられへんくなってもうたぁ…！」
os「…シャオロン、ちょっと甘いもんでも食べて休憩しよっか」
グルッペンの分も取ってくるな
そう言ってオスマンはシャオロンが泣き止むまで側にいてやるのだろう
扉越しでも聞こえていたその泣き声は段々と遠ざかり、1人になってしまった俺だけの執務室は、静寂と虚しさだけで満たされた
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仮想話(プロフ) - 白夜（ハクグン）さん» とても嬉しいお言葉をありがとうございます！上手とは言い難い文章ではありますがこれ程までに褒めてくださり感無量です、最後まで好きに書かせて頂きます〜！ (2020年11月14日 12時) (
レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
白夜（ハクグン）(プロフ) - 好きです（唐突）。もうほんと好きです。夢主くんもgさん他のwrさん達もほんと信頼関係…ｯ！無理せずに、無理せずに！頑張ってください！応援してます！！ (2020年11月14日 5時) (レス) id: d2ad143a92 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：仮想話 | 作成日時：2020年10月24日 10時
