- ページ43
.
気に入らない悪魔の前では冷徹で、しかし懐に入れれば年相応なバカさを露呈する。
完璧なお嬢様だと思ったからこそ、家系能力で手駒にしたいと欲が出た。自分のステータスを上げるために、ひいては自信を得るために、彼女を追ってここに来た。
しかし、彼女どころか、彼は男だった
しっかりとしたおち○ちんの生えた野郎に
これから一緒に仲間として過ごしても時間の無駄にしかならない、なんて…！
いま初恋を自覚したところなのに、こんなのってないよぉ…！
ut「……え？はつ、こい…？」
恋とは、特定の相手に強く惹かれることを指す。
相手を求め、思い焦がれ、色々な欲が湧き上がる。その欲を手玉にとってコントロールするのが淫魔族。
だからこそ、淫魔族にとって恋とは最大の試練
盲目的に相手の意識の手綱を握ることを良しとする淫魔族自ら恋に身を焦がすなんてもっての外…だったのに
どうやら僕は彼女…いや、彼に堕とされてしまったらしい
ut「うそだろ…？」
終わった…
服を皺くちゃになるほど掴んで、煩く打ち鳴る心臓の音を消そうとする。
今ならまだ、なんとかなるんじゃないかって
無駄な足掻きかもしれなくても、なんとか彼の魅力に勝ちたくて。
しかし、僕の内情に気づいてる様子など一切ない彼は、のほほんとした顔で手を洗いながら、その愛くるしい笑顔を容赦なく僕に向けてくる。
『やっぱりウツさんも服の汚れが気になりますよね？』
sha「じゃあ、大先生も連れてかんとな」
備え付けのペーパータオルで手を拭いていた彼らは顔を見合わせると、僕の方を向いてにぃっといたずらに笑いかけてくる。
心の中で散々見下し利用しようと考えてる僕を「仲間」と呼ぶくらい…バカな2人。
sha「俺んちここから近いねん！服洗うついでに3人で遊ぼうぜ！」
幸せそうな2人に挟まれ背を押され。トイレから一歩外へと足を踏み出した。
カサリと音を立てたポッケからすべり落ちた、とうに忘れてしまっていた飴のゴミが彼の帽子のように風に攫われ宙に浮く。
ut「…あ、あたりだ」
その日はとてもいい天気だったことをよく覚えてる。
2人と迎える明日が楽しみで仕方ないと浮かれ切った僕の心を写したような、とても綺麗な青空だったから。
赤の他人からだった僕らがはじめて「仲間」になった日常は、この青空から始まったのだから。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 405人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
マジモンの名無し(プロフ) - 仮想話さん» 了解しました！ (1月24日 17時) (
レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
仮想話(プロフ) - お立ち寄り頂きありがとうございます。全てのコメントを有り難く拝見しております。誠に勝手ではありますが、快適かつ楽しいサイト活用の為、当作品でのコメント送信は私宛のもののみに限らせて頂きたいと思います。ご理解ご協力のほどよろしくお願いします。 (1月24日 3時) (レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
仮想話(プロフ) - ベルナールさん» ベルナールさん、コメントありがとうございます！不定期ではありますが何年か先の完結目指して更新しますので、お付き合いくださると嬉しいです。 (1月24日 3時) (レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
仮想話(プロフ) - マジモンの名無しさん» マジモンの名無しさん、続編でもコメントをいただけるなんて恐縮です！寒い季節が続きますので、温かい飲み物を飲んでゆっくり過ごしますね、ありがとうございます！ (1月24日 3時) (レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
仮想話(プロフ) - 蘭欄さん» 蘭欄さん、コメントありがとうございます。趣味ながらできる範囲で研鑽に励もうと思います。ここまでお付き合い下さり本当にありがとうございました。 (1月24日 3時) (レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：仮想話 | 作成日時：2024年1月16日 10時
