. ページ42
.
彼が僕をよく見てくれているように、僕もまた彼のことを隣でずっと見てきた
だから、彼を見間違えることなんてない
ut「あんな薄い認識阻害メガネ如きじゃ、僕は騙せへんよ？」
『…なんだよ、それ』
額に汗を浮かべて困っている表情を浮かべているはずなのに
僕にはどうしてか、少し嬉しそうに口角が上がっているように見えた
『ウツがライブ見てるとは思わんかったぁ…』
ut「ちょうど予定なかったから、ふと思い出してみたらやっててん、ビビったであれは」
『…まじかぁ、くっそ恥ずいんだけど』
シャオロンのことを思って、彼に押しかけられて渋々見たことは黙っておいてやることにした
ああ、僕ってほんまに気がつかえるええ男やで
そんな馬鹿な考えを僕が浮かべているとは露ほども知らず、Aはため息をついてまたシンクの方へ向き直った
『皆には絶対に内緒やで、推しの為に仕方なくやっただけで…』
ut「言うわけないやん、僕に何のメリットもないし」
それもそっか、と曖昧に微笑んだ彼はシンクの拭きあげを終えて、手を拭いてくるりと僕へ体を向ける
そしてお茶菓子を手に持つとリビングの方へ指を差し、僕は彼の背中を追ってリビングへ向かった
ut「それで？くろむちゃんと直接話はできたんけ？」
『なっ！？なん、で、わかってん！？』
ut「…ぷっ、ふふ、カマかけただけやで？」
込み上げてくる笑いに対して、彼は不服そうに頬を膨らませた
今にもキスを落としてやりたいすべすべのほっぺをぷくっとするだけでこんなに胸を打たれるのは彼にだけだ
でも、そんな事を聞くために今日はここに来たわけではない
そもそも、その資格はもう僕にはないのだから
ut「そんで？憧れのあの子とどんな話したんよ」
ソファにどっかりと腰をかけて未だ立ったままの彼に話を振ると、彼は眉間に皺を寄せてから、諦めたようにため息と共にその言葉を吐き出した
『…アクドルに誘われたんよ、一緒にどうかって』
明らかな苛立ちと共に、珍しく乱雑にソファに座り下を向く彼
推し自らアクドルに誘われるという
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 392人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
仮想話(プロフ) - マジモンの名無しさん» マジモンの名無しさん、コメントありがとうございます。新しい扉を開くお手伝いができるなんて恐縮です。夢主くんはあまり好かれるタイプではないと考えていたので、そのようなお言葉を頂けて本当に嬉しいです。彼を好きだと言ってくださりありがとうございます。 (1月24日 3時) (
レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
仮想話(プロフ) - アゲハさん» アゲハさん、コメントありがとうございます。好き勝手に書いているので、このような温かいお言葉を頂けるととても嬉しいです。懲りずに続きを考える励みになります。本当にありがとうございます。 (1月24日 3時) (レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
マジモンの名無し(プロフ) - 長文失礼しました。 (1月14日 17時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
マジモンの名無し(プロフ) - コメント失礼します なんかもうですね、全てのお話素晴らしいです毎度心臓がバクバクしておりますキャラとの関係性や絡みが尊きなんか新しい扉が開きましたわありがとうございます夢主くんが好きすぎる 目次のイラスト？表紙がとても上手です好きこれからも応援してます (1月14日 17時) (レス) @page39 id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
アゲハ - もっと評価されて良いくらいに面白かったです！世界観に主人公がマッチしていて、リスペクトや愛を感じました。場面の動かし方や感情の書き方がとても上手で読みやすかったです。イラストも凄く上手ですね！続き楽しみにしてます！ (11月8日 23時) (レス) @page39 id: 4a8155e3ce (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：仮想話 | 作成日時：2022年12月14日 23時
