箸が転べば僕らは笑った -7-【魔d!】 (ページ27)

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rb「でも、A君とは、目を見て話したいって、思った」

rb「平等に、対等に、A君と向き合いたいって、思ったんよ」

rb「そのまんまの俺を見てくれるから、ほんまに…ほんまに、嬉しかったから」

床を見つめたままの姿勢で雑面の上辺に右手を当てる

震える唇で「《解除》」の呪文を詠唱すると額に張り付いていた雑面は「顔を隠す」という特性を失い、地面に向かって落下する
膝の上にひらりと落ちた雑面を左手で掴んでぎゅっと握りしめた

目の前にあるのは真白の波に浮かぶ【天】の文字

俺が目指す強くてかっこいい最高な、空より高いという意味を持つらしい、どこかの地方の珍妙な文字

これを真正面からこんなにじっくり見つめるのは、一体いつぶりだろうか

普段よりずっとクリアに見える視界は、家の中以外のものを数年ぶりに映していた

ゆっくりと視線を上げて、彼の足、胴体、肩口、首、そして…彼の顔をその目を合わせる

雑面越しじゃない対話をずっと夢見てた

A君と目を見て話すことをずっと、ずっと

アメジストのようにキラキラと輝く双眸は、俺の目を捉えた
ゆっくりと綻ぶA君の横顔を、ハナビは明るく照らしていた

そして多分、俺の顔も

rb「…はは、夜やのにハナビが綺麗やから明るくて…表情も丸見えで、なんか、恥ずかしいな」

正直、胸が鳴って仕方がない
どくどくドクドク鳴りまくって、口から心臓が丸ごとまろび出てしまいそうや

遮るものが無いままに見る彼の顔は、あまりにも眩しくて、キラキラと輝いていて
その表情が、いつもよりも何億倍も何兆倍も魅力的に見えてしまうのはハナビの演出のせいだろうか

『…き、れい』

ふと、彼は短く言葉を溢した

聞き間違えか？と彼の目を見つめると、彼は宝物を見つけた子供みたいに無邪気に、けれど落ち着いて息を呑むようにじっと俺の目を見つめていた
その視線に呆気なく、心臓は打ち抜かれてしまう

彼は好奇心に身を任せて俺の方へと身を乗り出す
俺は何も抵抗できなかった、指の一本でさえも動けなかった

そして白く細く綺麗な指先が、そっと俺の頬を包んだ

初めての感覚に全身の細胞が頬に集中する
指先から伝わる熱が、この状況が夢なんかじゃないって教えてくれる
夢見ていた現実は今ここにあるんだと、全身全霊で噛み締めろと

『透き通ってて、真っ直ぐで、宝石みたい』

『ロボロ君の目はこんなにもロボロ君らしい綺麗な色をしてたんだ』

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