箸が転べば僕らは笑った -7-【魔d!】 (ページ26)

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rb「ちょっとだけ、俺の話聞いてくれる？」

彼が薄く微笑んで頷いたのを見て、俺は俯いてから口を開いた

rb「俺な？昔から他の悪魔に"合わせて生きる"って感覚がわからんくて、それでひとりぼっちが常やったんよ」

rb「悪魔(ヒト)付き合いにずっと悩んどった、どうしても上手くできなくて」

rb「だから気持ちに整理がつかない時とか、何か見つけた時とか、いい考えが浮かんだ時とかに、癖で手帳にまとめて自分の考えを整理しとったんよ」

自分の手にある手帳を眺めながら、ぎゅっと力を込める
貰った時よりも随分と薄汚れた手帳は何年間も俺を支えてきてくれた

rb「でも多分【考えたことをまとめる(この)】用途ではもう使わんくなるんやろうなぁと思うんよ」

見上げると、彼はきょとんとした顔をして俺を見ていた

A君はいつだって俺の話を聞く時は真っ直ぐに俺の顔を見てくれる

最初はそれが気恥ずかしかったけれど、彼と話す内に段々と、俺も彼の顔を見ながら話せるようになった

ちゃんと話を聞いてくれてるって姿勢で表してくれたのが嬉しかったのもあるけれど、彼の表情がコロコロ変わるのを見るのもまた楽しくて

rb「…俺な、悪魔(ヒト)と話すのほんまは苦手やねん」

自分が傷つくのが嫌だった、迷惑そうな顔をさせてしまうことに罪悪感を抱かないほど非情にもなりきれなかった
　

rb「あんさんの言うような【オトモダチ】なんかおらへんかったから、ペイント兄さんにひっついてばっかりやったんよ」

rb「でも、兄さんばっかに頼るのもプライドが許さんくなってきて…ひとりで何でもできるようになろうって、強くなろうって決心してからは手帳に記した計画を元にひとりぼっちで頑張ってきた」

俺が選んだ【ひとりぼっち】という道の先で、彼と出会えたことが偶然なんかじゃないのなら
俺にも、一緒にこの先を歩める気心を許せる悪魔がいるのなら…その1人はきっと

rb「雑面(コレ)やって、相手の目を見て話すのが息苦しいからつけとんねん」

rb「視線を防ぐ壁がないと、息が上がって上手く喋れないから」

くしゃりと雑面の端を握って、震える声を落ち着ける
A君は口を挟まず、俺の話をじっと聞いてくれていた

それだけでも、俺にとっては初めてのことで

ゆっくりと深呼吸をしながら、気持ちを落ち着けて話し続ける