箸が転べば僕らは笑った -7-【魔d!】 (ページ22)

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『ロボロ君の代わりに僕がロボロ君の足になれば問題ないもんな』

またもや【お姫様抱っこ】をした状態のままで、彼は少し眉を下げて「迷惑やったらごめん」と小さく口を開く

見た目はかわいいのに、言動は強くてかっこよくて
更にこんなことまで、こうもサラリとされてもうたら
心臓がいくつあってももたへんよ…！

このままで大丈夫だということを、悶えつつも何とか伝えると彼はホッと息をつく

『ごめんね、ちょっとの間だけやから』

rb「いや、いいよ、いい、けど、なんで？」

『話したいことがあってさ…さっきいい場所見つけたんよ』

「だからそこに着くまではええかな？」と俺を顔を見て問いかける彼に頷くと、彼は穏やかに微笑んで校舎の方へ目線を移した

そうして、彼の背中側から翅を広げる音がして、ばさり、ばさりとゆっくりと浮上するために動かす音と共に浮遊感に包まれた

「わ」と漏れた声に対して、彼は「落としたりしないよ」とおちゃらけたように笑った
彼の腕に包まれたまま、落ちないように小さくなろうと縮こまっていると「掴まっていいからね」と優しい声が降ってくる

その言葉を聞いて俺は…そっと、彼の首元に手を回してみた

自分でもなぜこんなに素直に行動ができたのか暫くわからなかった
ただ、甘えてもA君は拒絶しないんじゃないかなって思ったからなのか、なんなのか分からないけど、頭を働かせずに行動した俺は…

やっやっやっ！！！やってしもうた〜！？！？

え！？なんで動いたん俺！！？て、てて手回したりして！！

いやいや服だとな！？伸びるかもしれんからやな！？

いや言い訳したとしてとなんでこんなコッ恋人がしそうなことを〜！？！？

めっちゃ近い！！A君がハイパー至近距離！！

アッちょっと待っていい匂いがするんやけど……

…と、童貞丸出しに無言のまま内心めっちゃパニクっていた
なんなら涙の第二波がそこまで来ていた

しょうもないことにめっちゃ泣きそうだった

そんなポンコツの俺とは違って、A君は何も言わずにバランスを取り直すように俺を抱え直した
先程よりも密着するように、俺を決して落とさないように
その優しさがまた、俺の涙腺を震わせる

彼の肩に頭を乗せて、背中越しに変わっていく景色をぼうと眺めながら、彼に触れている箇所がじんわりと温かいことを全身で確かめていた

…そんな中で辿り着いた先は見慣れた校舎、けれど足を踏み入れた事がない場所だった