箸が転べば僕らは笑った -7-【魔d!】 (ページ18)

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俺はここから動けないし、もうここで明日を迎えるしかなさそうだ
…今日中に謝ることは流石に無理そうだ

広間から聞こえる生徒たちの騒めきをBGMにして、腫れた足をボケっと眺める
そんな中でふと、大きな音が轟いた
反射的に音の鳴る方へ目をやると、そこには

そこには、夜空を覆わんとする程の大きな炎の魔術が花のように…赤、青、黄色に緑、色とりどりなそれは校舎の上で大きく咲いた
こんなものを見るのは悪魔生初めてで、呆気に取られて口を開ける

rb「…綺麗」

A君みたいにキラキラしてて、こんな暗い空でも眩く輝いてる
そっとそれに手を伸ばしてみても当たり前に掴めない
当たり前のことなのに、なぜかそれがA君に届かないことを表しているように感じて少し胸が痛む

大きな花を咲かせた後のカケラ達はその真下にある広の方へと落下した
かのように思えたが、まるでトランポリンで跳ねたかのようにまた夜空へ戻り花を咲かす

その様子をぼぅと眺めていたら、ふと咲き終わった後のカケラの一つが目に入った

それはみるみるうちに大きくなって、俺に向かって迫ってくる
トランポリンみたいに破片が跳ねることは無く、また花を咲かすわけでも無く、まっすぐに俺に向かって飛んで来る

あれ、ちょっと待って、俺、ここで死ぬんかな

直感的にそう感じると、なんだか全てがスローモーションに見えてきた
一年生の俺ではロクに使える攻撃系魔術は会得してないし
この足じゃぁ…得意な体術どころか横によけることすらできないだろう

ああ、なんや、短い悪魔生(じんせい)やったなぁ

それでも、誰かを思って過ごしたこの期間は

A君に出会ってからの学園生活は、本当に、ほんとうに！！

rb「楽しくて、幸せやったぞぉ！！」

声に出して叫んでみると胸の奥はスッとして
A君を探していた時のモヤモヤも気づけばどこかへ吹っ飛んでいた

最後に悔いがあるとすればA君に謝れなかったこと
そして、自分の気持ちを素直に話せなかったこと、かなぁ

…いや、ほんとに諦めてまうんか？

ここで生きる事を手放せる程、俺の「ビッグになりたい」という欲は目標とは別に小さいものだったんか？
A君と、まだまだしたい事たくさんあるやんか…！

やっぱりここで死ぬのはナシや

正直、この状況の打開策なんて浮かんでないけど
諦めんかったら、道は必ず開けるはずや

絶対に、俺は生き伸びてやる…っ！！