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「そんなことくらいおれでもわかるよ！！」
わぁ！っと大きな声を上げて、幼い俺は続ける
「おれやって、ほんまはAくんのこときずつけたくなかったのに」
「なんで、なんであんなことしてもうたん？」
「なあ、おれ、なんで、なんでなんかなぁ」
「もうAくんといっしょにおったらあかんのかなぁ？」
ポロポロと両目から大粒の涙を流しながら幼い俺は訴える
その様子を眺めながら、なんとなく感づいた
「ああ、この子は俺の代わりにこうして泣いて気持ちを表してくれてるんやな」と
面布で顔を隠したあの日から、強くなろうと決めたあの日から
表に出してこなかったマイナスの感情を表せるのはきっと
表情を…ひいては感情を自由に表せていたこの幼い頃の自分だけ
pe「でもさ、それだけロボロが反省して罪悪感持ったんならさ、素直な気持ちを伝えればいいと思うな」
pe「【ごめんね】って、気持ちを込めたひとことを」
ペイント兄さんは、にっこりと笑ってそう言った
俺の頭をぽんっと撫でて、いつも通りに、晴れやかに
俺の背中を押すように、俺が安心できるように、笑って
「でも、あやまったところでなにになるん？」
「すなおになったじぶんのきもちが、またAくんをきずつけるかもしれへんのに？」
弱くて泣き虫な俺はそう言って、心配そうに眉を顰めた
怯えたように肩をすくめて両手を包み込むように構えて
確かに、思い出にしてしまった方が今までの俺らしいのかもしれない
1人でも効率よく成長し続けることができるのかも知れない
でも、俺はA君に会ってしまった、巡り合ってしまった
彼のことを大切にしたい、もう2度と傷つけたくなんてない
ぶつかることがあったとしても、ペイント兄さんやシニー姉さんみたいに仲直りできるような関係性になっていきたい
やっぱり俺は、A君と一緒にいたいんだ
「ほんまに？ほんまにまたいっしょにいてくれるかなぁ？」
「ほかのあくまみたいに「いや」っていわれたら」
「「めんどうくさい」ってとりあってくれへんくなったら」
「つきはなされたら、どうしたらええん…？」
幼い俺は、俺の心を覗き込んだようにそう訴える
こいつが俺の心の一部やとしたら、こんな芸当ができるんも当たり前のことなんやけど
…俺の本心はこんなにも怖がりで、こんなにも弱々しい
強くなりたい一心で、感情表現まで置いてきてたなんて
見て見ぬふりをし続けてきたんやな、十数年間ずっと
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作者名：仮想話 | 作成日時：2022年8月22日 0時
