48.愛されていた【zm】 ページ48
気がつくと、ぽつんと1人残されたベンチにはいつの間にか野次のように知らない人間に囲まれていた
そこで初めて、俺らがあんなにも他人の目に見られ、大切な---の名前をその渦中に巻き込んでいたことに気付き汗が流れる
ut「…なぁ、ゾム、今のってどういうこと？」
tn「あいつに呼ばれて来たんやけど…何話してたん？」
その中にはよく知る顔が2人、同じように先ほど買ったクレープを持って立っていた
冷や汗が止まらず多くの奇異の目に晒された今、俺は先程まで馬鹿みたいによく回っていた口が全く動かなくなっていたし頭も真っ白になっていた
zm「ぃや、あの…わ、わからん…俺…」
ut「別れ話かいな！しゃあないなあ！話聞いたるわ〜な！トントン！」
大先生はそう言ってどかっと俺の肩を組んで座る
それに興味をなくした野次はすっと身を引いていった、見せ物状態から解放されたのである
zm「ぁ、ぁりがとう…ごめん、俺…」
ut「まあクレープ食おうぜ…俺は直接Aちゃんが話したくなる時まで待つつもりやしさ、ゾムももうちょい待ったげようや？」
大先生は俺の肩に回していた腕を離し、バシバシと俺の肩を叩く
彼女に何かあると知った上で彼は普段通り普通に変わる事なく接してあげているのだ、と初めて気づいた
それはトントンも同じだったようで、まん丸に目を丸めて驚いていた
tn「大先生…お前の事ちょっと見直したわ」
ut「ちょっとってなんやねん！お前クレープ食わんのやったら食うぞ！？」
俺を挟んで、俺が落ち込まないようにわざとはしゃいでくれてる彼らを見て、改めて自分を振り替える
zm「…そうか、俺はいっつも急ぎ過ぎやねんな」
同じクラスで、きっと俺よりも大切な---の名前の事を知っているのだろう2人を見て、自分の気持ちが早まったこと、聞く場所も聞き方もまるでなってなかった事をやっと理解した
両隣に座った彼らはしゃあないな、とクレープを突き出して乾杯の形を取る
ut「友達なんやからこそ言えんこともあるし、逆にその気持ちを汲んであげることもできる…たまにはゆっくり行こうやゾム」
zm「…おん、まず謝らなな、明日の終業式の後に」
いろいろな出会いがあった高校1年生の幕を閉じようとする3月の下旬
桜の蕾はまだその花を開こうとしていなかった
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仮想話(プロフ) - ぴくさん» ご指摘ありがとうございます、とても助かります！修正しましたm(_ _)m (2020年9月22日 17時) (
レス) id: 4dec9635f2 (このIDを非表示/違反報告)
ぴく(プロフ) - 27ぺージのzmさんの表記がzwになってます！ (2020年9月22日 16時) (レス) id: 0dfcf80db5 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：仮想話 | 作成日時：2020年9月22日 0時
