エスポワール (ページ32)

今日:5 hit、昨日:0 hit、合計:156,751 hit

32 アイツの涙ページ32

「なんでAが？！」

走ってきた山田涼介は

Aの肩を掴みぶんぶんと揺らした。

「ちょっと涼介激しい。」

「死んだなんて信じれなかったから、

信じたくなかったから、

俺たちずっとずっとAを探してたんだよ。

今までどこ行ってたんだよ。ｸﾞｽｯ」

そういうと涼介は

Aを強く強く抱きしめたまま

動かなくなった。

「あの、俺、先戻ってますね。」

照はこれ以上気まずくなる前に

退散しようとした。

が、スーツの裾を引っ張られ

それは叶わなかった。

「ひーくん、ここにいて

いてくれなきゃ、私、決意が揺らいじゃう。」

Aの決意。

Hey! Say! JUMPとしては

生きていけない。

13歳の若さで

夢を諦め、

世に出ることを諦めた。

それでも、守りたかったものがあるから

と捨て去った世界。

涼介といると

その世界をまた見たいと

思ってしまうとAは考えた。

Aは涼介をはがして

しっかり目を見る。

「涼介、忘れないでくれてありがとう。

私涼介のことほんとに好きだったよ。

JUMPのことも、ファンのみんなも、

全部全部大好きだったよ。

でも、私が生きてるのは

MEだからなんだと思うの。」

Aは笑って涼介の涙をふいた。