回想1 ジュンミョンside ページ10
ボクが事務所の練習生となったのは2006年
同期にはSHINeeのミノやオニュがいる
同期で年も近いとあって、ボク達は切磋琢磨しながらも仲がよかった
それから2年後、彼らはSHINeeとしてデビューを果たした
彼らからデビューの報告を受けた時、心の底から祝福した反面落ち込みもした
彼らと一緒に練習してきたのに、彼らはデビューし、ボクは練習生のまま
ボクに何が足りなかったのだろうか…
そもそも、ボクはデビュー出来ることができるのだろうか…
なにせ、今回デビューしたSHINeeのメンバー5人のうち、1人は同学年、3人は歳下だ
来年には、ヨジャグループのデビューも決まっていると噂で聞いた
ボクのデビューを待っている間に、着々と歳を重ねていく
今回選ばれなかったボクよりも歳上の練習生の中には契約満期になったら、辞めようと考えている人も少なくないらしい
事務所の練習生だからと言って、全員がデビュー出来るわけではないんだ
涙を飲んで辞めていった練習生達を山ほど見てきた
ボクもそうなるんではないかと、落ち込んでいる時に、同じレッスンを受けている練習生にグローバルオーディションで受かった日本人がいるから見に行こうと誘われて、そこで初めてAの存在を知った
韓国人が大半を占める練習生の中で、グローバルオーディションで受かって渡韓した外国人は数が少ないため、すぐ有名になる
Aもそうだったが、Aは特に話題に上がった
「何でアイツ受かれたの？」
「アイツ、すぐ辞めるなwww」
ボクが耳にしたAの話題は全て悪い物だった
顔は悪くない、でも特別良いわけでもない、至って普通
ダンスに関しては、ヒドイの一言だった
ならば、ああ言われても仕方ないだろう…
ボクもすぐに契約を切られるだろうと思った
けど、そんな考えを吹き飛ばしたのは、Aの歌声を聞いた時だった
たまたまボイストレーニングが一緒になって、これで歌まで下手だったら笑えると思っていた矢先に、鳥肌が立った
本当に彼が歌っているのかと疑いたくなるほど、澄んだ歌声で、彼が高音やビブラートを出す度に震えが止まらなかった
彼が受かった理由はコレだったんだ…
事務所も逸材を見付けたと、さぞ喜んだだろう
何もアイドルグループに属さなくたっていいんだ
彼にはソロでもやって行ける歌唱力がある
だったら、踊れなくても問題はない
だからそれ以降、ダンスを笑う人はいても、辞めるだろうと言う人はいなくなった
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作者名：るーくす | 作成日時：2018年12月30日 1時
