薄紅色の少女が織り成す冒険物語【ONEPIECE】 (ページ1)

今日:8 hit、昨日:9 hit、合計:49,145 hit

一話ページ1

『お母様ァァァ！！！！』

目の前で火だるまになって行くお母様。それでもお母様は私に、笑って、逃げろともう出ない声を必死に伝えようとこちらに手を伸ばしてきた。

それに弾かれるように私は走り出す。捕まる訳には行かない、お母様の望みは私がいきながらえることなのだから。

海岸にポツンと置かれた小舟にサッと乗り込んで、すぐにその場から立ち去る。後ろを振り返ると私のいた島は全てが火に包まれて、全てが燃やされた。

『あ"ぁ…おがあ"ざま"…！！！！』

涙が溢れて止まらない。こんなとき、父親がいればなにか変わっただろうか。なんて、私に会いにも来ない父親を思い浮かべる。

お母様はあまり父親について話してはくれなかった。1度だけ、根気強く聞いた際に教えてくれたことは父親は海賊で私よりも深い色合いの赤い髪をしているらしい。見せてくれた写真には笑うお母様と赤い髪をしてにこやかに笑う父親がいた。

私が産まれる前に父親は海へでた。海賊だから、だから私は1度も父親に会ったことはない。

ふと、小舟に一通の白い封筒が落ちていた。涙で前が霞む中、震える手でそれを開けば、宛先や誰からの手紙なのかはわからなかった。が、見覚えのある字でこれはお母様の筆跡だった。

＜この世界は平和や平等とは程遠い世界です。“エルフ族の生き残り”となった貴女は世界政府に狙われることでしょう。何があっても捕まってはいけません。必ず、逃げ切って。

もう二度と会うことは出来ないけれど、私はいつでも貴女を見守っています。これからもずっと、愛しています。私たちの宝物。＞

その手紙の中には、お母様が大切に首から提げていたロケットペンダントが入れられていた。シルバーで、なんの変哲もないロケットペンダント。その中にはお母様と父親のツーショット写真と、私とお母様の笑顔の写真が入れられていた。

流れる涙をぐしぐしと拭う。お母様の願いは私の願い。お母様の願いは今、私が生き残ること、世界政府とやらに捕まらないこと。ならばとことん私は逃げ馳せよう。