【w.r.w.r.d】赤字ニキは今日も気づかない。

Also today 35 ページ37

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リビングに入るともう母と父は揃っていて、父は新聞を読んでいて、母は食器を洗っていた。

これでわかるかもしれないが俺はホテルに止まらなかった。
いや、本当はホテルに泊まるはずだった。だけど、父がせっかく地元に帰ってきたのにホテルとはどう言うことか、とキレて予約は取り消し。
...ビジネスホテルに泊まってみたかったとか、言えない。


『おはよ』

「おはよー」

「早くない、見ろ。もう八時だぞ、もっと早く起きろ」

『今日ぐらいいいじゃん...』


皮肉を言う父に苦笑いして席に着けば、母が朝食を出してくれた。
相変わらずの料理の腕前に感心していると、父が新聞を折りたたみながらこちらを見た。

何やら顔には思い出した、というような表情が浮かんでいた。


「そうだ、言い忘れていた」

『...なに？』


言いながらトーストにかぶりつくと、父は目を細めながら口を開いた。
言っとくけど、今日は帰らないといけないんだからね。
そう言えば、父はわかってると言いたげに肩をすくめた。


「相手の都合でお見合いが今日の昼からになった。急なことで申し訳ない、だそうだ」

『...』


咀嚼していた口が止まった。
何を言い出す、この男は。話を聞いていたんだろうか。
今日帰るって言ったばかりじゃん？

...なのに、今日の昼からお見合い？

一応、俺は出張って名目できたんだぞ？
頬がピクピクとひきつるのを感じた。でも仕方ない、父が言うことなら従おう。
断ったらめんどくさいし。


『...わかった』


そう呟けば、父はため息をついた。
つきたいのはこっちだ。



＊

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