【w.r.w.r.d】赤字ニキは今日も気づかない。

Also today 22 ページ24

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慌てて俺も名刺を出して手渡す。
そうして商談が始まった。

ひとまず最初にこの商談の目的を伝えて、話を進める。


「...つまりは、貴君の会社の製品を広めたいので我が社を通して東にも伝えたいと？」

『そういうことです。不十分な言い方をお許しください』

「いえいえ、むしろわかりやすかったです」


いつぞやの山本さんとの初対面のように営業スマイルを貼り付けてあくまで相手想いの言い方をする。
この会社は一線引かれていると言えど、関西では大きく重要な会社だ。しかもそれが常連ときた。

手放すわけがない。
いや、手放すもんか。...というのが社長や上司の考えだろう。

だからこの会社とのひとつひとつの会談が重要で、大切。
なんて重荷なことを任されたんだ。
とは言え、今はそんな会談をしている。

気を引き締めなければ。


『では早速、いくつかのプランを用意しましたので一旦これを見てどうぞご検討を...』


もちろん用意したのは俺じゃない。後輩である長篠だ。
多少の罪悪感を隠しながら書類を見せた。

さぁ、どういうのを選ぶのか。

ゴクリと生唾を飲み込んで見守りながら最後の書類を置いた。
その時。



「＿＿これ。...あ、これがいいです」



スパンと即決したのか最後の書類を指差した大阪さん。
へ、となんとも間抜けな声を出した。...この人、名前だけじゃなくて性格も変わってる。

少し驚きながら「あの、理由は」と尋ねる。



「理由、ですか？まぁ簡単にいうと、プランAとプランBは明らかに利益が少ないんです。ほら、少しだけですがあなた方の会社に10％くらい多く利益があるんです。しかしプランCは平等です。それだけに関わらず、我が社の地名度も上がる。利益が多い少ないだったら利益が多い方がいいでしょう？それだけです」



...大阪さん、頭キレすぎじゃないですか？




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