Hostage 36 ページ36
＊
＿＿＿＿これはまずい。
明らかにこちらの方が不利だ。しかも、この二人を出して来たとなると、完全に俺を殺しに来るつもりだろう。戦闘力の高い、我々国らしい戦法。
書記長...トントンは幹部の中でも上位勢しか所持できない殺傷能力の高い剣を持っているし、特攻隊長であるゾムは人一倍、戦闘力がずば抜けている。
そんな二人に、俺が勝つという確率はほとんどなかった。
『うーん、これはまずいですね...』
「それだけのことをやったんや、お前は。さっさと覚悟しぃや」
『それは最初からわかってますよ。ただ、別にここで殺されなくたって、任務を遂行できなかったからその道殺されるって言いたいんです』
「そういって、どうせ言い繕うつもりやろ？そんな気持ちで戦ってるんやったら、お前は軍隊から抜けた方がええで」
間を持たせようと、あえて冷静に見せるも、仕返しとばかりに胸にくる言葉で返される。地味に胸に刺さって抜けない。そんな気持ちの傍、俺は必死に集めた情報を巡らせていた。
書記長の戦い方はよくわからないけれど、特攻隊長の戦い方はわかる。確か＿＿＿。
【主に隠密行動で裏を取る戦法。気配を消すのがコツだが、どんなに我慢しても微妙に感じ取れるらしいので注意が必要。また、その弱点を気付かれないようにカバーすることも大事】
それに対しての対応は、【真っ向から挑むのは危険。ショッピかコネシマの戦法を真似るとある程度は防げるかもしれない】というもの。この際、コネシマの戦法を真似した方がいいだろう。
『でも、死に場所が敵国っていうのも気に入らないなぁ。それなら、我が王に殺される方がマシですね！』
「おっ、ええやんええやん？忠君愛国ってやつか？」
『そう思ってくれて結構ですよ。個人的には大胆な宣戦布告をしただけですから』
...負けの確定している戦いのね。
小さく、誰にも聞こえないくらいの声で呟いて、長ドスを壁から引き抜いた。壁紙のこびりついた破片がこぼれて、靴にぶつかる。まだ武器は刃こぼれしていなかった。
ゆっくりと武器を構えると、向こうも不敵な笑みを浮かべ、武器を構えた。その後ろでは、観戦するかのように、総統が足を組んでいた。
＿＿＿そして、最後の戦いが始まる。
＊
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作者名：たこやき。 | 作成日時：2018年7月31日 22時
