【w.r.w.r.d】人質と暗殺者は紙一重。 (ページ1)

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Hostage 1 ページ1

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歪で不規則な石畳の上をよたよたがたがた進む馬車がありました。
進むたびに後ろの車体が大きく揺れて、今にも倒れそうです。道の脇にある民家の住民は、こっちに倒れて下敷きになるまいと必死に隅っこで様子を伺います。

それにしても、見たことのない馬車です。馬につけられた鞍に刻まれたエンブレムは見たこともない模様で、このあたりの国ではありません。
通っていく馬車を眺めながら、きっと遠くからきた王族なのだと住民は感心するばかりでした。

そんな住民のことなど素知らぬ馬車はよたよたがたがた進みます。
しばらくして、遠くにお城の要塞が見えてきた頃。馬車の窓から、とある人物が顔を出しました。それは綺麗なお姫様でした。
鼻はすらっと伸び、口元は優しさをたたえ、目元はにこやかな雰囲気をまとっています。きっと見た誰もが一目惚れするような、そんな出で立ちでした。

『...もうすぐかな？』

楽しげな、そして不安げな声で彼女は言いました。
高くも低くもない、中世的な声でした。目はキラキラとした光に溢れ、輝かしいばかりです。

そう、彼女は今日人質として、ここに遠くの国からやってきたとある王族の一人でした。しかし彼女は不安な声を出したものの、表情には一切不安も恐怖もありませんでした。

今から語られるお話は、彼女の人質生活のお話です。
彼女がどうやってこの何も知らない国で過ごしていくのか。それは彼女にしかわかりません。

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