That makes him envious. <Ryo Nishikido> (ページ8)

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二人暮らしを始めた当初は、不安がいっぱいで泣いてしまうこともあったっけ。
普段泣かない私が初めて亮の前で泣いた時、驚いたと言っていたのを思い出す。

そんなエピソードを思い出すのは、
ある一定の条件が満たされた時だけだ。
それは無条件に人の優しさに触れた時と、
あの頃と同じように泣きたくなる時だった。

前を向いている亮の背中に顔を埋める。
こんな自分勝手な私を不器用に愛してくれる亮が愛しくてたまらない。
何も言わず涙を流し鼻をすすっている私に、亮は着ているタンクトップが濡れていることで気づいている。

亮はしれっと向かい合わせに座り、
自分の胸へと引き寄せる。
‘今は何も言わず抱きしめて’
私のテレパシーが伝わったのか、
亮は何も言わなかった。

そのまま寝てしまった私をベッドまで運んでくれる。朝起きたら少しだけ目の端に涙が出ている亮の姿を見る。
付き合い始めて3年、一緒に住み始めて1年。
プロポーズされるのは少しだけ先の話。

-fin-