君の夢は、私の夢。(３)

Episode 67 ページ19

Episode 67








あのあと送ると言われて。

久しぶりに西くんの隣を歩いた。
たったそれだけなのに、懐かしいなんて思う。

西くんはあれからずっと申し訳なさそうな顔をする。

…もう、いいのに。







「本当のことを聞けただけで良かったから」


「でも、俺…Aに、酷いことした。良かれと思ってた事がAを傷つけてた」








また、申し訳なさそうな顔をする西くん。








「それと、玲花がもしかしたら仕掛けてくるかとしれない」








自分の狙ったもののためならなんでもする−−−
そんな噂が回っている皆木さん。

大宮公演の出来事も撮られていると。教えてくれた。






「あんま一人になんなよ」


「大丈夫だから、心配しないで」







怖くないかって聞かれたら、
そうじゃないけども。

私の心配なんて、西くんしてる暇ないじゃない。
目の前のことを頑張って欲しいから。







「私、夢を追いかけて走ってる西くんを見ていたいの。だから、こんなところで止まっちゃダメ」







『全てのことに挑戦する』
そんな意味が込められたＡＡＡという名前が私は大好きだ。

だって、夢を追いかけている西くんにぴったりだと思ったから。








「なぁ、A」


「ん？」








俺、お前が幼馴染で良かったって心底思ってる−−−
と西くんは笑った。








「さっきは幼馴染みだなんて思ったことないって言ってたくせに」


「えっと、あれはですねぇ……」


「ふふ。やっと、ちゃんと笑ってくれた」


「え？」


「だって西くん、最近顔怖かったから」









久しぶりの西くんの隣は心地よくて。

好きだなって、やっぱり思う。








「あっ」


「ん？」







そう言えば、勢いで告白しちゃった私。

そしてそれに答えるように、一瞬だけどキスをされたのは確かで。

思い出したら思い出したで、急に熱を帯びる顔。








「えっと……その、忘れてください…」


「何が？」


「いや、その、分かんないならいい」


「なにー？」








ニヤニヤ笑ってる西くんは確信犯だ。
絶対面白がってる。








「…忘れるなんて、絶対無理だから」








そんなことを言っておきながら、

すぐに答えをくれないなんて
本当意地悪なんだから。

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