たまには、 ページ39
「ねぇ〜、たかくん朝だよ」
ユサユサと肩を揺らして起こすのを試みるも、ぐっすり熟睡みたいで。ただいま午前9時。
「今日出掛けるって約束だったよね!ねぇ〜」
本日、9月30日。この日といえば、たかくんと私の誕生日だ。連日夜遅くまで仕事だったけど、今日はオフが貰える予定で。毎年恒例、誕生日は一緒に過ごすっていう、お互いの暗黙の了解。今年は朝から出かけようって約束だったのに。
「ねぇ、ほんと起きて〜もう9時だよ」
「……んぅ」
呻き声が聞こえたかと思えば、寝返りを打って再び聞こえた寝息。昨日も仕事終わりに泊まりに来て、割とすぐ寝て。疲れてるのわかってるけど。
「たかくんの馬鹿」
バシッと軽く肩を叩いて、その場を離れる。せっかく朝ごはんも作ったのに。ラップをかけて冷蔵庫へ入れる。洗濯物を干して再び戻ってきても、何も変わってなかった。
「はぁ、」
その気持ちよさそうな寝顔にむかついて、もう一発軽く肩パンをお見舞いしようと手を上げたら。
「……そう拗ねんなよ〜」
「うわ!?」
腕を掴まれたと思えば、力強く引っ張られ勢い良くダイブ。たかくんの上に馬乗りになるような状態。
「ちょっと!?」
「葵郁〜ゴロゴロしよ?」
寝起きのフニャりとした笑顔で言われて、揺らぐ。とりあえず起き上がろうと体に力を入れるけどガッチリ掴まれてるからビクともしない。
「力で俺に勝てる訳ないでしょ(笑)諦めて(笑)」
「はぁ……。ねぇ、今日出掛けるって約束……」
「………あー、夕方からにしよ?」
「何その間!忘れてたでしょ!?」
「ないない、俺ガ忘レルワケナイ」
そんな片言で言われても信憑性全くないし。とりあえず腕離して欲しいなぁって思う。
「夜、とびっきりイイトコ連れてくから」
だからゴロゴロゆっくりしよ?って笑う顔は可愛くて。はぁ、もうしょうがないな。5歳も年上なのに、そういうところは、ほんと。
「たかくんってかわいいところあるよね」
「あ゛?」
「イヤ、ナンデモナイデス」
かわいいって言われるの好きじゃないの知ってるけど。でも時々そう思う。
「まったり誕生日過ごそうぜ」
しょうがないなって身体の力を抜いた。たまにはこんなゆったりした誕生日も良いかもしれない。
-
おそらく年内最後の更新になりそうです。
年始は仕事が超繁忙期になりますので落ち着いてから。
みなさま、良いお年を。
402人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アオイ | 作成日時:2016年10月28日 1時