秘めた想いをしまう Takahiro side ページ23
「…寝てる…」
あれから数時間後。カジノから帰ってきて部屋にまだ明かりがついてることに不思議に思えば、ベッドでノートパソコンを広げ、突っ伏して寝てる葵郁を見つけた。
−−−仕事しすぎ
広がってるのは今度出すって言ってたアクセサリーのデザイン画だろうか。ひとつひとつメモが書かれてるそれは見ただけで彼女の一生懸命な想いが伝わってくる。それを丁寧に片付けてパソコンと一緒にサイドテーブルへ置く。
「…無防備に寝ちゃって」
葵郁の眠るベッドの端に座ればスプリングが軋んだ。柔らかい髪に手を通して顔にかかる髪をはらえば、気持ちよさそうな寝顔が見えて苦笑が浮かぶ。
「俺だって、心臓飛び出そうなんだからな」
今日の葵郁はどこか挙動不審だったように思う。特に部屋に戻ってきてから。それは少しでも俺を意識してくれてるって、自惚れてもいいんだろうか。
−−−−誰にも渡したくねぇんだよ
秘めた想いはもう何年越しなのかわからないくらい。ずっとだ。これより先に進みたいのに、今が心地良すぎて先へ進めない。まだ、まだ大丈夫だとどこか踏みとどまっているところはあった。
「早く俺の想いに気づいてよ」
一層のこと、ひと思いに……。なんて思ったこともあるけど、そんな事したら今までの関係はすべて崩れるだろう。
「葵郁………だよ」
ずっと言えない二文字を、また俺は胸にしまう。そして明日からもいつも通りに過ごすのだろう。
「……ねむて、」
無防備な寝顔を見つめていれば、自然と瞼が重たくなる。向こうにもうひとつベッドはあるのに、ちょっと面倒くさくて。俺はそのまま葵郁の眠る隣に横になった。………葵郁が起きたら驚かれるだろうし、もしかしたら怒られるんだろうけど。
「おやすみ、葵郁」
それでもいいと思った。
-
どうしても入れたかった西島さん独白描写。
次から2日目進みます〜
オマケ。
「ちょっとたかくん!!!!!」
「んー……」
「いつ帰ってきたの!?というかなんでこっちにいるの!?」
「ん……あおちゃん、うるさ…」
「ちょっと!!寝てないで起きて!!」
「……あと10分…」
「隆弘起きろっ!!」
やっぱり怒られた(笑)
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作者名:アオイ | 作成日時:2016年10月28日 1時