コダワリという名のワガママ Takahiro side ページ16
「アンコールありがとー!!」
ツアー最終日、あともう少しでこの楽しい時間も終わり。最後のMCが進むなか、俺はあることを思い出していた。
「セトリ、新旧混ぜてこういう感じで行きたいなって思ったんだけどみんなどう思う?」
それはとある打ち合わせの時だった。葵郁がそういえば、と見せてきたメモを一目見てびっくりしたのを覚えてる。
「昔の曲のメドレーっぽいのと…」
「BLOOD on FIRE……」
「うん、これは絶対に入れたいって思ってて」
俺たちの始まりの曲。節目にしたい10周年のツアーにはもってこいの1曲なのかもしれない。でも………というに気持ちがあった。
「これ、歌うならみんなでパート分けしてアレンジとか……」
「ううん。極力昔のまままやりたいって思ってる」
「でもそしたら葵郁は…」
私は大丈夫だよって言い切った葵郁の瞳を俺はよく覚えている。
「今日さ、というか今日に限らずこのツアーのセットリストは昔の曲もちょっと入ってます。考えてくれたのは葵郁なんだけど」
これを聞かされた時、スタッフさんもメンバーも1度は止めた。だって、葵郁が居ない時の曲で。まだメンバー全員でやっていくなんてことはなかったときだから。でも頑なに葵郁は譲らなくて。なんで?って聞いたんだ。そしたら……
「私の居なかった五年間があるから、今の私がここに居るの、って」
後藤さんが居た八人での時があったからこそ。あのときストリートで頑張ってたみんなが居なかったら。あの時のみんなの葛藤がなかったら、今はきっと…。あの時をなかったことにして今は語れないから。
「十年前の曲を歌うことでいまのAAAのみんなを見てもらいたいから」
「なにより、AAAが大好きだから」
そう強い瞳でいう葵郁。俺たちはそんな葵郁の姿を見て顔を見合わせる。思ってることはみんな一緒だろう。
「分かった。じゃ、俺たちのワガママも聞いて?」
サビは葵郁も主旋律、な。
葵郁にお願いする俺たちのワガママだ。
「葵郁を抜いて、いまのAAAは語れないから」
「これからのAAAも葵郁抜きじゃ語れない」
俺たちの全員の想いとこだわりという名の我儘が詰まったひとつのストーリー。これが今回の十周年ツアーだ。
:
開く度にお気に入り増えてて泣きそう!嬉しいです。
ありがとうございます!
できたら評価もしていただけたらもっと喜びます…!
402人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「芸能人」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:アオイ | 作成日時:2016年10月28日 1時